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NFTに価値裏付けの波 東急不動産、スキー初滑り権

デジタルコンテンツの所有者を証明することができる非代替性トークン(NFT)に安定した価値を裏付ける流れが加速してきた。東急不動産はブロックチェーン(分散型台帳)事業をてがけるハッシュポート(東京・港)と組み、北海道・ニセコのスキー場で最初に滑れる権利をNFTにして販売する。実用性のある裏付けを持たせることで価格が安定すれば、個人が保有しやすくなりそうだ。

背景にあるのはNFTの値崩れだ。NFT取引を追跡するノンファンジブル・ドット・コムによれば、7~9月のNFTの平均価格は154ドル(約2万円)と1~3月比で約9割下落した。例えばアート作品などにひも付くNFTは価値評価が難しく、投機マネーが流入することで価格が乱高下する。別の実用性や資産価値のある裏付けを持たせることで、価格を安定化させる狙いがある。

東急不動産が発行するのは「ニセコパウダートークン」だ。ニセコ周辺のスキー場「ニセコ東急グラン・ヒラフ」(北海道倶知安町)で、誰も滑っていない新雪で滑れる権利をNFTにして販売する。対象期間になるのは12月24日からの67日間。1日12枚分の利用権を販売する。

ハッシュポート傘下のハッシュパレットが運営するNFTマーケット「PLTプレイス」で販売する。NFT価格は5000円前後で、12月1日から販売する。利用者は購入した日程の都合が合わなくなれば二次流通市場で売買することができる。東急不動産はシーズン終了後もトークンを保有してもらい、特典を付与することを検討する。

NFTに裏付け資産を組み合わせる動きも出てきた。ブロックチェーンシステム開発のレシカ(東京・千代田)はリアルの不動産物件にひも付いたデジタル物件に所有権を与える「ANGO NFT」の発行を12月に始める。リアルの不動産物件を民泊運営し、NFT所有者以外にも利用してもらうことで物件の持続的な運営を目指す。

巨大な仮想空間であるメタバースを見据え、大企業のNFT市場への参入が相次いでいる。インドの調査会社マーケッツアンドマーケッツ社によれば、世界のNFT市場規模は2027年までに22年比4倍強の136億ドル規模になる見通しだ。

従来は値上がり益を狙った投機マネーの参入で市場が形成されてきたが、医療や地方創生、教育、脱炭素分野などでもNFTの活用を探る事例が生まれてきている。価値の裏付けがNFT価格の安定を実現できるかどうかは、今後のNFT市場の成長を左右しそうだ。

(フィンテックエディター 関口慶太)