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大和ハウス、サーモン陸上養殖施設公開 ふ化用稼働

ノルウェーの養殖業者の日本法人が運営し、2024年の出荷開始を目指す。食品関連の施設は断熱性や衛生面の要求水準が高く建設にノウハウが必要。大和ハウスはサーモン加工工場や卸売市場などを手掛けてきており、26年度までの5年間に食関連の施設で500億円の受注を目指す。

養殖業者はプロキシマーシーフードで、大和ハウスが設計と施工を手掛け21年5月に施設を着工した。既にサーモンの中でも品質が高いとされるアトランティックサーモンの卵をふ化し成長させる施設が稼働を開始。出荷重量である4〜5キログラムまで育てる施設は23年に完成予定だ。

大和ハウスの浦川竜哉・常務執行役員㊧、プロキシマーシーフードのヨアキム・ニールセンCEO㊥、丸紅の三木智之執行役員

24年半ばには出荷を開始したい考えで、当初は年間2500トンの生産を予定する。出荷開始までに施設整備や運転資金で180億円の費用を見込む。27年には生産量を5300トンまで増やすことを目指しており、国内のサーモン自給率を数パーセント程度高められるという。生産するサーモンの販売は丸紅が担う。将来はアジア圏への輸出も視野に入れる。

養殖施設が立地する土地は大和ハウスが開発した工業団地で、売買対象となる敷地面積は合計で約70万平方メートルと東京ドーム15個分だ。プロキシマーシーフードは全国で数十カ所を建設候補地としていたが、消費地である東京圏に近く、良質な水が得られることから小山町に決めた。

養殖施設の内部にはふ化したサーモンを育てるタンクが並ぶ

食品関連は通常の事業施設と比較して工期が長く、衛生面への配慮も必要になる。大和ハウスは国内外で食品加工工場などを手掛けてきたことから「国内トップクラスの実績がある」(浦川竜哉・常務執行役員)という。今後もサーモンの大規模な陸上養殖施設の受注案件を探る構えだ。

一方、富山市では2月に老朽化した公設卸売市場の建て替え事業も開始した。全国の別の市場でも受注を狙う。