東南アジア主要国の2022年7~9月期の国内総生産(GDP)が21日、出そろった。前年同期比でプラス成長が続き、今後も外国人観光客の拡大などで回復を見込む。個人消費が堅調な一方、急速な物価高や利上げが経済を下押ししかねない。
タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)が21日発表した7~9月期の実質GDPは前年同期比4.5%増え、4四半期連続のプラス。前年同期に新型コロナウイルスの感染拡大で景気が悪化した反動もあり、GDP伸び率は21年4~6月期以来の高水準となった。
けん引役は観光を柱とするサービス業。入国制限が5月にほぼ撤廃され、7~9月期の産業別GDPはホテル・飲食業が53.6%増えた。外国人観光客の増加で景気が刺激され、GDPの5割超を占める個人消費が9%増と高い伸び率だった。
22年通年の成長率見通しは3.2%と、前回8月時点で2.7~3.2%としていた予測の上限に改めた。NESDCのダヌチャー長官は記者会見で「観光業の回復はタイの経済成長にとって重要」と指摘。コロナ前の19年に約4000万人だった外国人観光客は、23年は2350万人まで回復するとの見通しを示した。
フィリピンも観光業が堅調。2月に外国人観光客の受け入れを再開して以降、14日までに訪問客は200万人に達した。11月にはワクチン未接種者が入国する際にもPCR検査を不要にするなど規制緩和を続けており今後も個人消費の活性化が見込まれる。
懸念はインフレだ。アジア開発銀行は東南アジアの22年のインフレ率を5.2%と予想し、21年(2%)を大きく上回る。タイ(6.3%)やシンガポール(5.5%)などの物価上昇は、経済を押し上げた個人消費を冷やしかねない。
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