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TSMC、最先端半導体「3ナノ」米アリゾナに新工場

【台北=中村裕】半導体大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者である張忠謀(モリス・チャン)氏は21日、台北市内で開いた記者会見で「3ナノ(ナノは10億分の1)メートル品」と呼ばれる半導体の最先端品を生産する新工場の建設を、米アリゾナ州で検討していることを明らかにした。「ほぼ計画は確定している」と述べた。

張氏は19日までタイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に台湾代表として参加し、帰台後、総統府での記者会見で明らかにした。

TSMCは現在、アリゾナ州で「5ナノ品」と呼ばれる先端の半導体を生産する新工場を建設している。120億ドル(約1兆7000億円)を投じて建設する海外初の先端工場で、2024年からの量産を予定する。今回、新たに明らかにした3ナノ品の新工場は、5ナノ品を超える技術で、米国の第2段階の大型プロジェクトになるという。

3ナノ品は現在、世界でもまだ量産レベルにはない。TSMCが台湾の新工場で年内に量産を予定しており、米国もTSMCに対し、3ナノ品の米国での量産を求めていた。

正式に3ナノ品の新工場を米国に建設することになれば、投資額は1兆円を大きく超える。さらに米国が中国対抗を念頭に日本やオランダなどの同盟国と進める先端半導体での国際的な連携にも、大きな弾みをつけることになる。

張氏は会見で、最近の半導体を取り巻く環境について「多くの人が半導体の重要性にごく最近目覚めた。今回のAPECでもいくつかの国から(新工場の)お誘いを受けた」と述べた。ただ「どこの国とは言えないが(これ以上)TSMCが多くの国で生産するのは、もう無理がある」などと述べた。

張氏は米テキサス・インスツルメンツ(TI)で20年以上勤めたのち、TSMCを創業した。長く経営を率い、18年6月には同社を引退したが、依然としてTSMCや業界に強い影響力を残している。