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【社説】高層階向け地震速報を生かせ

規模の大きな地震が発生すると、震源から遠く離れた超高層ビルやタワーマンションがゆっくりと大きく揺れる。こうした長周期地震動について、気象庁は2023年2月から緊急地震速報の対象に加えると決めた。従来の速報との違いや新しい基準について周知を急いでほしい。

長周期地震動は揺れが次第に大きくなり、長時間続く。11年の東日本大震災では、震源から770キロ離れた大阪市の超高層ビルで壁や天井、エレベーターなどが壊れた。地面の揺れを建物に伝わりにくくする免震構造が備わっていても、地震動の周期によっては効果を発揮しない。超高層ビルやタワマンは増えており、対策を再点検する必要がある。

気象庁は長周期地震動について揺れの大きさによって4つの階級に分けた。立っているのが困難な階級3と4が予測される地域に対して緊急地震速報を出す。震度は3でも速報が出ることもある。

高層階では、固定されていないテーブルやソファなどの家具、事務機器が動き回って危険だ。衝突を避けるためには、速やかに逃げるしかない。遠方で起きた地震なら、大きく揺れ始めるまでに時間の余裕がある。高層階にいる人々が身の安全を確保するためにも、速報の導入は意義が大きい。

南海トラフでマグニチュード9級の大地震が発生したら、東京、名古屋、大阪の三大都市圏では、最上階の揺れが2メートルを超すと予想される。重い事務機器や家具を固定しておくことを徹底したい。

建物が倒壊することはないとされるが、エレベーターのロープが損傷して使えなくなる恐れがある。人々がエレベーターの中に閉じ込められたり、上層階に取り残されたりすることが想定される。防災訓練や食料と水の備蓄を怠らないようにしてほしい。

一部の超高層ビルで揺れを抑える制震装置の設置が始まったが、多くは未導入だ。大地震はいつ起こるかわからない。すぐにできる対策から着実に進めるべきだ。