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20代メーカー営業マンさん、全力投資で資産1950万円 投信ブロガー

首都圏の賃貸マンションで暮らしている。

大学生の時に興味をひかれ、株式投資を開始。それ以降、投資のスタイルは変わってきたものの、一貫しているのが生活費を除いてできる限りの金額をつぎ込む「全力投資」だという。メーカー営業マンさんの資産運用を聞いた。

アルバイトのお金で投資をスタート

――投資を始めたきっかけを教えてください。

「学生時代にテレビを見て個別株投資を知ったのがきっかけです。働かないで収入を得るのがかっこいいと思ったので、インターネットで情報を集め、アルバイト収入でためた30万円を元手に個別日本株を2銘柄購入しました。2014年、大学2年生の二十歳のときです」

「ブログを始めたのは、著名な株式ブロガーのサイトを見て刺激を受けたからです。もともと何かを作ったり発信したりすることが好きだったので、社会人1年目の18年2月にサイトを開設しました。ブログでは、私自身の運用資産状況や配当、株主優待、銘柄分析、ライフスタイルについての考察などをリアルにつづっています」

コロナショックで投資スタイルを見直し

――投信の購入を始めたのはいつですか。

「社会人になった17年に、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用して海外先進国株式ファンドに投資したのが最初です」

「もともと配当目当てで高配当株を主に購入していましたが、コロナショック以降は減配が相次ぎ、配当収入が目減りしました。加えて、配当金をもらうと課税されるデメリットを実感したので、長期投資をメインにする投資スタイルに切り替え、投資信託の投資額を増やしました。投信だと組み入れ株の配当金を内部で再投資するので、複利で資産が増える効果が見込めるためです」

「資産形成の主軸は積み立て投資です。学生時代に外国為替証拠金取引(FX)も手掛けたことがあるのですが散々でした。何とか立て直そうと、ネットで情報収集をしていた際に『ドルコスト平均法』という効率的な投資方法があるのを知りました」

――どのようなファンドに投資していますか。

「投信は4本購入しています(図表A)。17年5月からiDeCoで毎月1万2000円の投資を続けていましたが、会社が企業型確定拠出年金(DC)を採用したためいったん解約。22年8月からは企業型DCで毎月2万7500円を投資しています」

「そのほか、18年1月から積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)で、毎月3万3333円ずつ投資しています。特定口座で購入している2ファンドとボーナス投資の合計額を平均すると、毎月の投資額は20万円程度になります」

「保有しているのは市場平均に連動する低コストのインデックスファンドのみです。運用コストを少しでも抑えることが、複利効果が見込める長期投資には有効と考えています」

現金の比率は極力少なく

――金融資産の割合を教えてください。

「現在のリスク資産と現金の割合は95対5です(22年10月末時点)。リスク資産の内訳は個別株が金融資産の中で約62%、投資信託が約32%です。そのほか、太陽光発電設備やインフラファンド、不動産関連のクラウドファンディングなどにも投資しています」

「購入のベストタイミングは分からないので、投資するなら一日でも早いほうがいいという考えです。そのため給料が入ってきたら、使うお金の約20万~30万円だけをプールして、残りをすべて『全力投資』しています」

「最近はネット証券を中心に投資環境が整ってきました。株式や投信も簡単に換金、現金化できるので、全力投資をしていても不安はありません。投資で増える可能性があるお金を現金で保有し続けることは、あまり意味がないと思います」

十分な資産を得て心にゆとり

――資産運用をしてどのような経験をしましたか。

「お金に対する知識や考え方(マネーリテラシー)を体得しました。投資先を調べることで売上高や利益など企業決算書の見方も理解できるようになりました。資産運用をして本当によかったと思います」

「投資を始めた頃は、何も考えず話題になった銘柄に飛びついて資産を失ったこともあります。事業トラブルの解決が近いとの思惑で動意づいていた株を購入しましたが、結局は上場廃止で40万円近い資金が3000円程度となり、つぎ込んだアルバイト代が吹き飛びました」

「こうした経験を踏まえて、株式投資をする際には投資先の状況把握だけではなく、リスクに対してどれだけリターンを見込めるかを意識するようになりました」

「大損した後もくじけずにコツコツ投資を続けた結果、社会人になってまだ6年目ですが投資元本は約1000万円、総資産は約1950万円になりました。20代にしては十分な資産を持てたことで、心にゆとりができ日々の生活にも余裕を持てるようになりました」

――資産運用の出口を意識していますか。

「おぼろげながらですが、定年を迎える頃を出口に想定しています。少しずつ投信を売却しながら、セカンドライフで自分の好きなことをやってみたいと思っています」

自分で調べ、情報を取捨選択

――これから投資を始める人たちにアドバイスを。

「投資は自己責任なので、まずは自分で調べる力を身につけ、情報を取捨選択することが大事です。私自身は主にインターネットから情報収集をしていますが、内容は玉石混交です」

「ネットにあふれる様々な情報を比較しながら信用できるものを自分で見つけ出すことで、徐々にマネーリテラシーを身につけていくことができます。経験がないと、どうしても投資に猜疑心(さいぎしん)や恐怖感を抱きがちです。そんな方々にも、私のブログが参考になればうれしいです」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)