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セブン、脱「総合小売り」加速 コンビニ軸に戦略転換 そごう・西武を米ファンドに売却 ヨドバシ、池袋に出店へ

家電量販店大手のヨドバシホールディングスがそごう・西武の一部店舗の不動産を取得して出店する。セブン&アイは様々な流通業態を抱える「総合小売り」から脱却し、コンビニエンスストアを軸にした成長戦略を加速する。

 

セブン&アイは2006年にミレニアムリテイリング(現そごう・西武)を傘下に入れ、総合小売り路線を強化してきた。それまで「セブンイレブン」と「イトーヨーカ堂」を軸にグループ運営してきたが、新たに百貨店を加えて多様な業態による相乗効果を狙う戦略に乗り出した。

だがここまで大きな成果を出せず、百貨店市場(総合2面きょうのことば)の地盤沈下も重なり、株主らから「コングロマリット経営」を疑問視する声が高まっていた。今回のそごう・西武売却は、停滞に陥った総合小売り経営からの転換に向けた大きな一歩を踏み出したことになる。

セブン&アイは年初からそごう・西武の売却手続きを進め、2次入札を経て優先交渉権を与えたフォートレスと条件を詰めてきた。フォートレスの不動産事業や企業再生ノウハウがそごう・西武の収益改善や不動産価値の向上につながると判断して、売却を決めた。

セブン&アイは23年2月1日に売却する予定で、売却額はそごう・西武の企業価値2500億円から有利子負債などを調整し決定する。23年2月期の連結業績に与える影響は精査中としている。

そごう・西武子会社の生活雑貨店、ロフトはセブン&アイが株式を取得してグループ内にとどめる。一部のセブンイレブンでロフト商品を取り扱うなどしており、コンビニ事業への貢献も可能とみている。

フォートレスはヨドバシと連携し、そごう・西武の再建を目指す。ヨドバシは西武池袋本店(東京・豊島)や、そごう千葉店(千葉市)内に出店することを検討している。店舗の不動産も取得する考えで、不動産取得などの費用は2000億円を超えるとみられる。

ヨドバシは主要都市の駅前などに大型の家電量販店を24店展開する。家電量販店「ヨドバシカメラ」の22年3月期の売上高は前の期比3%増の7530億円。出店するそごう・西武の施設内でどれだけのスペースを確保するかは今後調整する。

セブン&アイはフォートレスを売却先に選んだ理由として、雇用維持の観点からも適任と説明している。

ただ11日の発表では、そごう・西武の2000人超の社員の雇用や地方店の存廃、百貨店業のあり方などの詳細については触れられず、今後の調整事項となる。売却手続きを円滑に進めるには、そごう・西武の労働組合など利害関係者への丁寧な説明が必要になる。

そごう・西武以外にもイトーヨーカ堂やファミリーレストラン「デニーズ」を展開するセブン&アイ・フードシステムズなど稼ぐ力に乏しいグループ企業は少なくない。

これらの子会社の業績改善などグループ経営のテコ入れを急がなければ、物言う株主などへの説明に経営陣の時間が割かれる状況が続く。