· 

米ホテル大手3社、軒並み増収 コロナ禍前水準を回復

3社を合わせた売上高は92億2200万ドル(約1兆3600億円)で、新型コロナウイルス流行前の19年7~9月期の売上高水準を上回った。米消費者の旺盛な旅行意欲を背景に、夏休みシーズンの宿泊需要が拡大。好調な米国内に加え、ドル高で割安感がある欧州地域などへの海外旅行者が急増し、全体の売上高を押し上げた。

最大手マリオット・インターナショナルは、売上高が35%増の53億1300万ドル。純利益は約3倍の6億3000万ドルだった。新型コロナに関する渡航規制緩和が追い風となり、米国外でも宿泊需要の回復が進んだ。

特に欧州は「ドル高を背景とした米旅行者増加の恩恵を受けた」(マリオットのリーニー・オバーグ最高財務責任者=CFO)。一方で、当局が厳しい渡航規制を維持する中国地域は、事業地域で唯一、平均客室単価が前年同期比でマイナスと回復の遅れが目立った。

ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは、売上高が35%増の23億6800万ドル、純利益が44%増の3億4700万ドルだった。米国内や欧州の伸びがけん引した。収益力の目安となる「1部屋当たりの売上高」は114.04ドルで、前年同期の90.39ドルから上昇。新型コロナ流行前の19年同期比(114.78ドル)に迫るまで回復が進んだ。

ハイアット・ホテルズの売上高は81%増の15億4100万ドルと急拡大した。純利益は同77%減の2800万ドルだった。販売管理費などの負担増に加え、前年同期に不動産売却による特別利益があったことで減益となった。ただ、特殊要因などによる影響を除いた調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は3割増えた。

各社は、年末にかけても新型コロナ禍の自粛の反動である「リベンジ消費」の勢いが続くと見込む。ヒルトンとハイアットは22年12月通期見通しについて「1部屋当たりの売上高」がそれぞれ前期比40~43%、60~65%増えると予想した。

マリオットのオバーグCFOは「インフレによる宿泊需要減退への懸念より、リベンジ消費への期待が大きい」と説明。1日に好決算を発表した民泊大手、米エアビーアンドビーのデイブ・スティーブンソンCFOも投資家に対し、10月以降の見通しについて「非常に有望なトレンドが続いている」と説明した。

特にドル高を追い風にした米国人の国外旅行が各地の宿泊需要を支えると期待する。米商務省の月次発表によると、22年8月に欧州を訪れた米国人の数は約163万人で、前年同月の約82万人から倍増した。