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しぼむオンライン入試 閉じる世界への扉 やっぱり変だよ、日本の教育(3)

10月初旬、神田外語大(千葉市)の総合型選抜(旧AO入試)では受験生がキャンパスで答案用紙と向き合った。2020年度は受験生全員が自宅のパソコンなどから学科試験を受けたが、遠隔での全面実施はこの年だけだった。

「ログインできません」。2年前の入試当日、試験本部には受験生から電話が殺到。職員10人が対応に追われた。全受験生が試験を終えたものの約2割がトラブルに遭った。「知見は生かすが、公平な受験環境づくりが最優先だ。キャンパスに来てもらおう」。オンライン入試に携わった長田厚樹(67)らの意見は一致。22年度は一部の学部でのオンライン面接にとどめた。

20年度に導入した大正大(東京・豊島)も翌年度から一部を除き対面に戻した。20年度のオンライン希望者は総合型選抜受験生の9%だけ。アドミッションセンター部長の井上隆信(55)の職場には「オンライン入試始めました」と掲げたチラシの山が残る。「導入は見切り発車だったのでは」との思いがよぎる。

EduLab(エデュラボ)が提供する人工知能(AI)によるオンライン試験監督システムの採用大学は22年度、前年度の半分以下に減った。IT(情報技術)に詳しい教員不足など課題は多いが、対面方式への逆戻りは世界の優秀な人材とつながる機会の損失に映る。

101の国・地域の学生が在籍する立命館アジア太平洋大(大分県別府市)は留学生全員がオンライン面接を受ける。20年度から出願書類もデジタル化し面接から入学手続きまでシステム上で完結する。21年度卒の留学生662人のうち180人が日本で就職した。

「学生確保の競争はシビア。オンライン活用は大前提だ」と事務局次長の折田章宏(55)。系列の立命館大(京都市)もオンライン面接を拡大。国際入学課長の石間友美は「時間的・経済的負荷を減らすことで多様な学生を集めやすくなった」と語る。

世界はオンライン導入に前向きだ。180以上の国・地域から志願者を集める米ミネルバ大はオンライン形式の入試を採用。大学を目指す全米の高校生らが受けるSAT(大学進学適性試験)は23年からデジタルに移行する。子どもが減り続けているのに世界に向けた扉を閉ざしていてよいのか。(敬称略)