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中小企業融資「経営者保証」を制限へ 金融庁、23年から 金融機関に理由説明義務、違反なら行政処分も

メガバンクや地域銀行、信用金庫といった預金取扱金融機関は保証の必要性など理由を具体的に説明しない限り、経営者保証を要求できなくなる。個人が起業しやすい環境を整備する狙いだ。金融機関側は融資先に対する目利き力を問われることになる。

金融庁は1日に監督指針の改正案を発表し、23年4月からの適用を目指す。金融機関が融資時に経営者保証を求める場合には説明義務を課し、その内容を記録して金融庁に件数を報告することも義務付ける。金融庁はヒアリングや検査を実施し、手続きに違反があったり企業とトラブルが起きたり、自主的に改善が期待できなければ行政処分の対象になる。経営者保証に依存しない融資をどう進めるか取り組み方針を公表するよう要請する。

経営者保証については13年に全国銀行協会と日本商工会議所が事務局を務める研究会が策定した「経営者保証に関するガイドライン」に沿って、金融庁が金融機関に経営者保証に依存しないよう要請していた。だが、現状では経営者保証を付けない中小企業向け融資件数は全体の約3割にとどまっていた。今回、規制の一部に組み込むことで、金融機関の保証依存体質の解消を図ることにした。

ガイドラインでは経営者保証を取らない要件として①法人・経営者の関係が区分・分離されている②財務基盤が強固③適時適切な情報開示をしている――の3つを定めている。今回の改正案では金融機関に対し、「どの部分が十分ではないために保証が必要になるのか」「どのような改善を図れば保証の変更・解除の可能性が高まるか」を説明するよう求める。

全銀協や日商は13年に経営者保証に関する指針をまとめた

経営者保証は経営規律を保つほか、信用補完の観点で金融機関が中小企業融資に付ける商慣習だ。倒産した時に会社資金で融資を返済できなければ経営者の私財で返済する。ただ、個人破産すれば再起しようとしても新規融資を受けにくくなり、起業が進まない一因だ。事業承継時にリスクととらえられ、後継者が見つからない要因でもあるとされる。

21年度の中小企業向け新規融資に占める経営者保証を付けない件数は民間金融機関全体で29.9%にとどまる。これまで金融機関は債権保全を重視してきた背景から、従来の習慣を踏襲して保証を取っているケースもあるためだ。金融機関が経営者保証をつけないことで融資を渋り、中小企業の資金繰りが悪化しないようにするため、金融庁が監督下に置き監視する面もある。