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令和なコトバ「ソッカン」 狙い目は即日完売にあらず

誰もが知る流行語なき時代の新語を採掘し、世の中を知る「令和なコトバ」。タワマン人気が続く不動産業界で使われている用語が「ソッカン」です。即日完売は人気物件の証しと思いきや、最近は事情が変わってきているそうです。ライターの福光恵さんが、ポスト・ソッカンの狙い目物件を探します。

「即日完売」。何といけずな言葉だろう。最近も、「全国旅行支援」が受けられる一部エリアの旅行商品や、食材の切れ端などを使った「もったいないおせち」(ローソン)の即日完売が伝えられ、戦線に加わらなかった自分はじだんだを踏んだものだ。ま、即日完売しなければ、たぶん買おうとも思わなかったところがポイントなのだけど。

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というわけで、今週の令和なコトバは、この即日完売を意味する略語「ソッカン」。そもそもは不動産業界で、新築マンションや分譲地などに申し込みが殺到、売り出し分全てがたちまち完売してしまうことを指す。

即日とはいえ、実際は発売日その日に完売しなくても、マンション販売期間の数日のあいだに、売り出した物件すべてに申し込みが入ると、ソッカンと呼んでいいらしい。ソッカン=人気物件なのだが、その意味は、ここ7~8年で少し変わってきたという。住宅評論家の桜井幸雄さんが、こう教えてくれた。

「2004~05年ごろまでは、首都圏だけで年間6万~8万戸という大量の新築マンション物件を、出しては売り、売っては出してという時代でした」。とくに売るほうはソッカン目指し、できるだけお買い得な物件を売り出し、秒で売り切って次の物件の販売に移るのが、理想の流れとされていた。

ところが事情は変わってきた。タワーマンションなどの大型物件は増えていそうなので意外だが、いま首都圏で売り出される新築マンション物件数は、当時の半数ほど。パイも減っているが、少子化などで買う人も減っている。そこで時間をあけて値上がりすることをにらみながら、じっくり高く売る方へのシフトが始まっているという。

「今や売る側にとってソッカンは、値段設定を安くしすぎた失敗を意味することも。第1期発売分の物件数を、例えば十数戸程度に抑え、様子を見る業者も出てきています。ソッカンも昔ほど難しいことではなくなっているんですよね」(桜井さん)

もう一つ、「即日完売」という言葉が持つ意味のあやふやさも、不動産業界のソッカンばなれにつながっているとか。「完売」とはいえ、実際に販売契約したわけではなく、あくまでも意味するのは「申し込み」。チラシなどで、「第1期、即日完売!」などとうたう物件は今も多いが、「誇大広告になることを懸念して、『全物件申し込み受付』などと正確に言い換える大手企業も増えてきました」。

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というわけで買う側にとっても、必ずしも人気物件のバロメーターとはいえなくなってきたソッカン。これからは何を目安に、人気物件を見つけるのがいいのだろう。

「たとえば『第1期即日完売』とあっても、あわてて飛びつく必要はありません。第1期で売り出す戸数を減らしている可能性があるからです」。それより気にしたいのは「モデルルーム見学の予約が取りやすいかどうか。平日でも予約が取りにくく、取れても先に設定されるような物件は間違いなく人気物件です。逆に予約が取りやすい物件は、じっくり品定めをしたほうがいい場合も多いですね」。御意!

(福光 恵)