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新卒採用、旅行・レジャーも回復 OLCは23年春2.8倍 日経調査

新型コロナウイルス禍の収束を見据え、これまで抑えてきた採用を正常化していく意向だ。採用意欲の回復で人材の争奪は激しくなっている。一部企業では追加募集を続けるなど、人材集めに苦心する姿も透けて見える。

23年春に入社する大学新卒(大学院卒を含む)の内定者数について調査した。非製造業の内定者数は22年度に比べて4%増の7万9430人で、4年ぶりにプラスに転じた。

「アフターコロナに向けた観光産業の需要回復に対応する」。2年ぶりに新卒採用を実施したJTBは、グループ全体で計画通りの300人を確保した。

志望者の関心を高めようと、テレワークを前提に遠隔地勤務を認める「ふるさとワーク制度」などの新しい働き方をアピールしたという。非旅行事業の拡大に向け、IT(情報技術)人材を採用する「デジタル総合職」の枠も新たに設けた。

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)も22年度に比べ2.8倍の65人を採用する。「足元の需要回復などを受けて、採用計画人数をコロナ禍前の水準に戻した」という。

家電量販店の出店攻勢をかけるヤマダホールディングスは65.7%増の744人を採用する。計画より25.5%も多い水準だ。

不足しがちなデジタルトランスフォーメーション(DX)人材を獲得しようとの動きも広がる。ニトリグループは40.8%増の676人を採用。特にIT人材を強化したというが、この分野は「他社との競争が非常に厳しかった」と振り返る。

一方、鉄道では採用数を絞る動きが相次いだ。JR東日本は27.6%減の276人とする。深沢祐二社長は「通勤やビジネス出張の需要はコロナ禍前に戻らない」としており、鉄道事業の社員数を縮小していく考え。他の事業への配置転換や自然減が中心となるが、新卒の採用も抑制する。JR東海も採用を36.2%減の305人とする。

採用競争の激化を受けて、当初の計画を満たせない企業も散見される。非製造業の採用計画人数に対する内定者数の充足率は88.5%と、製造業(93.9%)に比べて低い。業種別では特に陸運(64.2%)や外食・その他サービス(80.8%)の低さが目立つ。

牛丼店「すき家」などを運営するゼンショーホールディングスはグループで350人の採用を予定したが、22年末まで採用を継続する。10月3日時点の充足率が46.9%にとどまったためだ。同社は「対面の面接を減らしてリモートで対応したことなどが影響した可能性がある」としている。

ホテルを展開する西武・プリンスホテルズワールドワイド(東京・豊島)の採用は計画を上回ったものの、12月中旬まで追加募集を続ける予定だ。ホテルの新規開業案件などを受注して、従来の想定よりも採用を増やす必要が生じたためだ。

人材争奪の激しさは内々定者の辞退者数からも見て取れる。製造業も含めて調査に回答した企業のうち、ほぼ4社に1社(26.8%)が内々定辞退者の割合が「5割以上」だったと回答した。22年度に比べ8ポイント、21年度からは16.7ポイントも上昇しており、内々定を出しても入社に至らないケースが増えている。

企業は優秀な人材には早めに内々定を出して確保しようという「青田買い」の動きを強めている。このため、学生が複数の企業から内々定をもらう状況が当たり前になりつつある。一方、企業側からすると実際に入社する人数が読みにくく、採用活動の難しさが増している。

優秀な人材の確保へ各社は知恵を絞る。応募者数の増加や自社に合う人材を採用するための工夫(複数回答)として、89.7%の企業がインターンシップを挙げた。学生に早期に接触できる場として活用が広がる。

41.1%の企業は「女性管理職の増加」を挙げた。女性の自己実現や働きやすさの支援に熱心なことを訴え、就職活動生の関心を高める狙いだ。

日経リサーチの協力を得てアンケート方式で実施した。調査対象は上場企業と日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業の合計1065社。10月3日までの回答企業964社のうち、大卒は比較可能な941社をまとめた。調査時点は10月3日。