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投資信託、バランス型に資金流入 ミドルリスクが人気 投信調査隊

米利上げやウクライナ危機をきっかけに、先行き不透明感が強まっていることも追い風になっているようだ。

バランス型ファンドは株式や債券、REITなどに分散して投資する。9月末時点の純資産残高は約12兆円まで拡大している。金融庁が金融機関に対して「フィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)」を求め、「分散投資」「長期運用」を主体とする資産管理型営業に取り組む中で、バランス型ファンドをコア商品に据える金融機関が増えたことも影響したようだ。

 

バランス型ファンドとファンドラップの純資産残高を合わせると約26兆円になる。これはETF(上場投資信託)を除く追加型株式投信全体の4分の1を超える規模だ。

バランス型ファンドの投資対象である株式、債券、REITは景気局面によって、循環的な値動きをする。例えば、景気回復期には株式やREITなどの価格が上昇し、景気後退期には金利が下がって債券価格が上がる傾向がある。

1つの分野に資産が偏ると、経済環境により損益が大きく振れやすい。バランス型ファンドは値動きの傾向の異なる資産に投資することで、それぞれの資産の値動きが相殺され、価格変動リスクの低減が期待できる。

バランス型ファンドは「比率固定型」と「比率変動型」の2タイプに大別できる。

比率固定型はあらかじめ設定した資産の配分比率を基準に運用する。基準となる配分比率を維持するよう、定期的に価格が上昇した資産を売却し、下落した資産を買い増す「リバランス」をする。

比率変動型は市場の状況に応じて資産配分の比率を変更するのが特徴。強気と判断した場合は株式やREITの資産配分を増やし、弱気と判断した場合は債券の資産配分を増やすなどする。機動的な資産配分を行うことで、より大きな収益獲得を追求する。

バランス型ファンドの過去1年間の資金流入額ランキングを見ると、トップは「のむラップ・ファンド(普通型)」の744億円だった。比率固定型で国内外の株式・債券・REITを投資対象とする。

のむラップにはリスク水準が異なる5つのファンドがある。リスクの低い方から「保守型」「やや保守型」「普通型」「やや積極型」「積極型」と名付けられている。普通型は国内・海外の株式とREITへの投資比率(8月末時点)が合計51.2%。「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品といえる。

2位は「NWQフレキシブル・インカムファンド 為替ヘッジなし(毎月決算型)」で613億円。日本を含む世界の米ドル建て株式や債券などに投資する。バリュー(割安)株への投資を強みとする米NWQインベストメント・マネジメント・カンパニーが運用する。

(QUICK資産運用研究所 清家武)

運用成績、ハイリスクが好調

比率固定型のバランス型ファンドを、リスクの大きさで3つに分けて純資産残高や値動きを調べてみた。開示資料を手掛かりに、株式とREITの比率が原則3割以下のファンドを「ローリスク・ローリターン」、7割以上を「ハイリスク・ハイリターン」、それ以外を「ミドルリスク・ミドルリターン」とした。

3年前に比べて純資産残高を最も増やしたのはミドルリスクで1.4兆円増だった。9月末時点の残高は約4.2兆円に達する。一方でローリスクの残高は足元で1.7兆円ほどで、約0.3兆円の伸びにとどまった。

分散投資を目的とする投資家向けの商品では「ファンドラップ」も人気がある。金融機関が個人顧客と投資一任契約を交わし、顧客に代わって投資信託に投資する。ファンドラップも資金流入が続いており、純資産残高(6月末時点)は約14兆円になった。

2019年9月末を基準に値動きをみると、足元ではリスクの高い順に好成績となっている。20年3月のコロナ・ショックでは株式などの比率が高いハイリスクの成績が最も悪くなったが、21年に入ってからは好成績が続く。一方で比率変動型の成績は比率固定型を下回る期間が長く、足元では19年9月の水準を下回る。