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関西百貨店の外商、若い富裕層狙う SNSでスピード接客

共働き世帯など購買力の高い40代以下を対象に、SNS(交流サイト)の活用など年代に合わせた接客方法を導入。当面はインバウンド(訪日外国人)消費の本格回復が見通せず、国内富裕層の取り込みを進める。

 

外商とは一定の購買が見込める富裕層顧客を対象にした特別サービス。武家屋敷を回って注文を聞いた江戸時代の呉服屋にルーツを持つ。従来は専任販売員が顧客宅に直接通ったり顧客の来店時には店舗案内をしたりして要望に手厚く応じるのが主流だった。

一般顧客の百貨店離れや新型コロナウイルス禍の影響で店舗の売上高は落ち込むなか、外商は高水準で推移する。エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の阪急阪神百貨店では2021年9月~22年8月の外商売上高が前年比2割増、コロナ前の18年比でも1割増だった。旅行が制限された富裕層の消費意欲が時計や宝飾品などに向かったためだ。

特に伸びが顕著なのが40代以下の若年層だ。21年9月~22年8月の同客層の外商売上高は前年比4割増、18年比では5割増にのぼった。これまでの主力の顧客は高齢層だったが、起業家や共働き世帯の増加などを背景に、最近は購買力の高い若年富裕層の利用が増えている。

阪急阪神百貨店ではこうした傾向を踏まえ、22年4月から従来の一対一の接客に加えチームで対応する体制を取り入れた。外商顧客1人に付き1人のメイン外商販売員を付けるほか、複数人のサポート販売員を配置。販売員1人が専任で担当する顧客数を3~5割減らした。

他にも対話アプリ「LINE(ライン)」やビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」などを活用し顧客とやり取りをする体制も整えた。外商担当の佐藤行近取締役は「若い外商顧客は自宅訪問のような従来の接客に違和感を覚え、一定の距離を保ちながらよりスピード感のある買い物を重視する人も多い」と話す。

大丸心斎橋店は顧客の購入スタイルに応じた接客チームを設ける

外商の売上高が全体の3割ほどを占める高島屋大阪店(大阪市)では、顧客の年齢層に合わせ外商販売員の若返りを進める。22年3月までに20~40代の外商販売員の人数を前年比1.5倍に増やした。若年顧客と近い感覚を持った販売員を増やすことで買い物をしやすくする狙いがある。

通常、各百貨店は他の顧客からの紹介や年間購買額が高い顧客のスカウトなどで新たな外商顧客を取り込むが、大丸心斎橋店(同)は「タワマン丸ごと外商」に踏み切る。24年竣工予定でファミリー層などの入居も想定する東急不動産の43階建てタワーマンション「ブランズタワー大阪本町」の購入者を対象に、外商サービスを提供する。大丸松坂屋は自分で申し込むオンラインの新サービスを始めており、従来とは違う手法で若年層の掘り起こしを図る。

(大竹初奈)