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オフィスナビ金本社長「中小からの移転相談が増加」 中堅・中小の現場から

中堅・中小の現場では何が起こっているのか、経営者が語る。1回目はオフィス仲介サービスを手がけるオフィスナビ(東京・千代田)の金本修幸社長。

「新型コロナ禍でオフィス需要は減少しているのでは」との質問をよく受ける。答えはイエスでもあり、ノーでもある。大企業のオフィス縮小や解約で都心5区の空室率が上昇し、賃料は下落している。一方で、空いた場所にスタートアップが入居する事例が相次いでいる。

オフィスナビに寄せられたスタートアップや中小企業からのオフィス移転相談の件数は2021年に20年比で3割増えた。22年はさらに前年比で2割増えている。30~100坪くらいの広さを求める声が多い。これがノーと言える根拠だ。

半面、オフィス需要の減少にイエスと答える理由は、大企業のオフィスに対する需要の変化だ。リモートワーク推奨の動きから、大企業による数千~数万坪単位でのオフィスの返却、解約が相次いでいる。東京では今後も新たに大規模なオフィスビルの竣工が続くので、統計的に空室率が上昇する流れは続くだろう。

新型コロナ禍の前はオフィスの空室率が超低水準で、空室がなく賃料も非常に高かった。いまは空室が増え、賃料も下がってきており、攻めの好機と捉える経営者は増えている。大企業はオフィスをなくしても、社名やブランドで消費者や優秀な学生を引き付けられるが、スタートアップは違う。好立地で大型ビルに入ることが採用面でプラスに働くと考えている。

当社への様々な依頼の中で興味深い事例がある。新型コロナ禍で働き方がフルリモートとなって一度オフィスを廃止した会社が、オフィスの重要性を再認識して新たにオフィスを探してほしいというものだ。毎月数十社ほど同様のニーズをいただいている。

オフィスをなくしたことで企業文化の醸成や、若手社員の育成などの面で課題が多いと聞く。業績が大きく下がってしまったという顧客もいた。しかし、リモートワークなどの利点を多くの人が認識したいま、オフィスでの働き方が完全に新型コロナ前に戻ることはないだろう。

大企業のオフィス縮小やスタートアップの拡大移転と、オフィス市場は二極化しているが、今後数年がターニングポイントになると考える。オフィスへの出社率を新型コロナ前近くまで戻すのか、オフィスを完全になくすのか、または両方の利点を生かしたハイブリッド型の働き方にしていくのか。企業のオフィス戦略は多様化するだろう。

当社はオフィスコンサルティング企業として、人がリアルに集まり協働することで価値を生み出すオフィスの重要性を確信している。オフィスの縮小や拡大、またはハイブリッド化したことで、企業の未来にどのような影響を与えるかを注視していきたい。