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関電不動産開発、定期借地権で好立地に新築マンション

完成後にマンションを分譲し約70年後に土地と建物を返却する。地主にとっては土地を手放す必要がない。マンションの購入者は同じ立地だと2割程度安く買える。9月までに完成した物件で2016年以降に約1200戸分を手掛けてきたが、26年までの4年間でさらに800戸程度増やす。

 

関電不動産開発は大阪市福島区に地上46階建てで364戸の高層マンション「シエリアタワー中之島」を建設し、26年に完成を予定する。徒歩圏内には22年に開業したばかりの大阪中之島美術館が立地する。都市部の一等地にあたる土地は、もともとは関電病院の駐車場だった土地だ。

土地は所有ではなく借りる

この物件は関西電力が持つ土地を関電不動産開発が借り受け、約70年後に返却する「定期借地権付きマンション」だ。購入者は70年後に退去する必要があるものの、通常の分譲マンションと異なり土地を所有するのではなく借りるため、マンションを安く購入できる利点がある。

不動産経済研究所によると全国の新築マンションの平方メートルあたり単価は21年に78万4000円で前年比で約3%上がり、9年連続の上昇となった。22年に入っても建設価格の上昇もあり価格の高騰が続くなか、定期借地権付マンションの需要が高まっている。

土地のオーナーにも利点がある。土地を手放すことなく収益を上げられるほか、マンションの管理運営は主に関電不動産開発の子会社が担うため管理の負担も抑えられる。関電不動産開発の加藤信之グループ長は「関電グループが担うことでオーナーに安心感を持ってもらえる」とする。

マンションの老朽化が進んでいない場合は、建物をそのまま地主に譲渡するよう契約することも可能だ。マンションの購入者は賃貸住宅として住み続けられる。

デベロッパーにとっては好立地のマンションを開発できるチャンスになる。都市部を中心に開発競争が繰り広げられるなか、再開発地域を除いて土地が不足しつつある。藤野研一社長は「土地を手放さずに持ち続けたいというオーナーに対して積極的に提案していきたい」と話す。

新築マンションの差異化難しく

同様の仕組みは他のデベロッパーも手掛ける。不動産経済研究所によると21年の近畿圏におけるマンション販売戸数のうち、定期借地権付きマンションでは関電不動産開発の159戸に次いで阪急阪神不動産が84戸、住友不動産が52戸だった。首都圏では東京建物が242戸と最も多く、三井不動産レジデンシャルが200戸と続いた。

新築マンションは耐震性や断熱性の向上などでは差異化が難しい。「どうしても立地が差異化になってくる」(藤野社長)のが実情だ。定期借地権付き分譲マンションを採用することで好立地なマンションの開発に力を入れる。

(仲井成志)