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CBクラウド、複数荷主に「ラストワンマイル」

物流スタートアップのCBcloud(CBクラウド、東京・千代田)は、物流プラットフォーム事業を手がけるはぴロジ(東京・港)と提携し、10月から新たな配送サービスを始めた。「ラストワンマイル」と呼ばれる各戸までの配送で、複数の荷主から荷受けする「オープン」型サービスを提供することで、柔軟な配送に対応する。まずは首都圏で展開し、2023年以降大阪や名古屋など主要都市に広げる。

配送サービス名は「コネット便」。「ラストワンマイル」サービスを収益化して提供するには、十分な物量を確保することが必須となる。そこでCBクラウドとはぴロジはオープン型のプラットフォームを立ち上げ、多くの荷主企業との取引を目指す。

荷主企業からの荷物は、はぴロジやCBクラウドの配送拠点に集約し、複数企業の荷物を混載して、消費者宅などに届ける。さらに荷主企業の倉庫管理システムと連携し、消費者のニーズに応じて柔軟に集荷・配送できるようにしていく。

全国6万人以上いるCBクラウドのドライバーネットワークと、はぴロジの物流拠点ネットワークを生かす。物流不動産開発のシーアールイー子会社であるはぴロジはグループ会社で約1600件の物流拠点を保有する。

電子商取引(EC)市場は拡大する一方で、アマゾンジャパン(東京・目黒)などの一部を除き、多くのEC事業者は消費者宅への配達を宅配大手に頼るしかない。ただ、人手不足や働き方改革などの課題を進める宅配大手では、夜間・早朝配送などが難しいケースが多い。

一方、荷主企業と貨物ドライバーをオンラインでつなぐCBクラウドの配送システム「ピックゴー」は、荷主企業の依頼に対してドライバーは都合のよい時間や条件で仕事を選んで受託できるため、夜間・早朝の配送や都心部への即日配送などにも対応できる。コネット便でもこの強みを生かして、取引の拡大を目指す。

CBクラウドは配送システムを生かした企業間物流が主体だったが、近年、消費者向けのラストワンマイルの配送事業の強化も進めている。3月には物流倉庫「川口デポ」(埼玉県川口市)を開設し、8月から同倉庫を活用した大手アパレルメーカーの通販商品の即日配送サービスを始めた。

9月にはローソンと提携し、利用者が専用アプリからコンビニエンスストアの商品を注文すると登録ドライバーが店舗で代理購入し、そのまま配送を請け負う取り組みも始めた。まずは首都圏の33店舗で導入した。セブン―イレブンのネットコンビニでも21年から配送業務を請け負い、約1100店舗で対応している。

今後はコネット便を中心にEC荷物の取り扱い拡大を目指しつつ、自社拠点も増やして配送網の強化を進める。22年中に物流倉庫を都内に複数開設し、23年以降には東京以外の都市部でも配送拠点を増設することを検討している。「ラストワンマイル」サービスを巡ってはSBSホールディングスなども力を入れている。

(松井亮佑)