· 

卒業後の進路考える時期 日本は海外より遅く 栗田貴祥

秋・冬のインターンシップに向けて動きが活発化する今、卒業後の進路を具体的に考え始める学生も多いだろう。

日本では「新卒一括採用」という独自の就業システムが長く続けられてきた。そうした背景から、就職活動を始める時期が「自分の進路を考え始める時期」と重なっている学生も少なくない。では、世界の若者と比べ、進路を決める時期にはどのような特徴があるのだろう。

リクルートワークス研究所が2012年に行った「Global Career Survey」では、日本を含む世界13カ国の20代、30代の大卒者に「大学卒業後の進路を決めた時期」を聞いている。

日本は「大学生の後期」との回答が66%と他国よりも圧倒的に多く、「大学生の前期」は12%。「高校時代」は2.3%だった。一方、米国で「大学生の後期」と回答した人は21%、ドイツでは19.1%で、オーストラリアやインド、マレーシア、インドネシアなど多くの国で2割前後だった。

日本と比べて、「大学生の前期」「高校時代」に卒業後の進路を決定したという割合が多い。米国は32.5%が「大学生の前期」、20.2%が「高校時代」と回答。ドイツでは「高校時代」が33.6%を占めた。

10年前の調査なので、その後の経済状況やコロナ禍の影響により、現在と多少のズレはあるだろう。また、そもそも諸外国とは雇用システムや教育システム自体が異なるため、その良しあしについては一概に言えないが、大きな傾向として日本の若者は、卒業後の進路を決定する時期は遅いといえるだろう。

では、卒業後の進路について考え始めた時期は、働く意欲にどう影響するのだろうか。

リクルート就職みらい研究所では22年大卒生を対象に「卒業後の進路について具体的に考え始めた時期別の就職活動開始時点での働く意欲」を調査した(就職白書2022)。働く意欲が「十分ある」と答えた学生は、高校生以前に進路を考え始めた学生では36.5%、大学1、2年時に考え始めた学生は30.6%だった。大学3年前期になると23.5%、大学3年後期では16.8%と減少傾向にあり、早い段階から自分の将来を意識して学ぶ学生のほうが、より意欲が高くなることがうかがえる。

世の中にはどんな仕事があり、その仕事についている人はどんな勉強をしてきたのだろう。そう考え、早い段階から仕事についての情報に触れることで、学業と将来のキャリアを結び付けて考えられるようになるのではないか。

就活が始まるから仕方なく進路を考えるのではなく、将来のために今何をやるべきかを日ごろから考える。そんな日常のコミュニケーションが、高校・大学の授業はもちろん、家庭内や友人同士でも広がっていけばいいと考えている。

(リクルート就職みらい研究所所長)