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「次の土地がみつからない」 細るマンション開発適地 マンション高騰の果て(3)

「用地取得が難しい京都市内でのマンション供給につながった」。三井不動産レジデンシャル関西支店の主査、水野貴之が手応えをみせる案件がある。J・フロントリテイリング傘下のパルコが保有する土地を活用して手掛ける分譲マンションだ。

地下鉄や阪急電鉄の駅から近く、四条河原町など市中心部の繁華街が徒歩圏。物件はパルコが持つ商業施設のノウハウを生かし、グループの百貨店のサービス提供も検討する。パルコ執行役員の平井裕二は「土地の価値を最も高める活用法がマンション開発だった」と話す。異色のタッグによる開発物件は、三井不レジのブランド「パークホームズ」として発売され、同社の販売戸数の増加につながる。

不動産経済研究所(東京・新宿)によると、首都圏1都3県の新築マンションの発売戸数はこの20年余りで3分の1程度、近畿圏2府4県でも2分の1程度にそれぞれ減った。

分譲マンションの開発に最適な事業用地が減ったうえ、投資マネーの流入で土地の入札取引の価格も上昇している。消費者が許容できる価格を考えると、収支の管理も難しくなってきた。「次の用地が簡単には見つからない」。三菱地所レジデンス社長の宮島正治は吐露する。

不動産会社が試行錯誤を続けるなか、注目するのが民間企業が持つ不動産だ。事務所や社宅で使われた場所は依然として多く眠っているとされ、百貨店や鉄道会社は駅周辺に多くの不動産を保有する。東急不動産執行役員の佐藤知之は「多くの遊休地を抱える企業の課題解決にもつながる」と話す。

「老朽化や木造住宅の密集エリアを丁寧にまとめ上げる」。三井不レジ社長の嘉村徹は、用地の確保で再開発に力を入れる。再開発は地元住民との話し合いが必要となる。三井不レジが日鉄興和不動産と組み、JR小岩駅前(東京・江戸川)で進める再開発マンションは、勉強会発足から着工までにかかった期間は14年。交渉にかかるコストも膨らむが、そこに注力しなければ優良物件は生み出せない。

2008年のリーマン・ショックで不動産中堅が資金繰りに行き詰まり相次ぎ倒産。不動産経済研究所によると、首都圏のマンション開発事業者は02年の約390社から足元で約120社と3分の1以下に減った。ライバル企業が減って、供給者優位となった新築マンション市場だが、選ばれる物件の難易度は上がっている。(敬称略)