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重い大学の教育費 日本は家計負担5割、OECD平均の2倍

経済協力開発機構(OECD)は3日、日本の高等教育費のうち学生の家計が負担している割合は52%で、OECD平均(22%)の2倍超だとする報告書をまとめた。政府は経済的な理由で進学を断念する学生を減らそうと支援を広げる。公費投入には効果の検証も求められる。

 

「日本では大学卒業後に家族や本人がローンを抱えている問題が起きている。他国に比べ必ずしも財政的に良い施策があるとは言えない」。OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は3日、オンライン記者会見で日本の大学の学費負担の重さを指摘した。

OECDの報告書「図表でみる教育2022」は2019年の各国のデータを使い、大学レベルの教育費の負担割合を分析した。高等教育機関への資金の出し手について、①政府などの公的機関②学生の家計③民間企業④海外からの研究資金助成――の4つに分類し、割合を比べた。

日本は家計負担が52%で、公的支出(33%)より多かった。家計負担の割合は比較可能な35カ国のうち、コロンビア(68%)、チリ(57%)、英国(54%)に続き4番目に高い。オーストラリア(51%)や米国(44%)もOECD平均を上回った。

北欧は国民全体に高い税負担を課す一方、大学の学費を無料としている国が多い。大学レベルの家計負担はデンマークとフィンランドで0%台だった。スウェーデン(1%)やルクセンブルク(2%)、オーストリア(3%)なども低かった。

日本の国公立大の年間授業料は米ドル換算で5144ドルで、イングランド1万2255ドル、米国9212ドルなどに続き5番目に高い。OECDは「私的支出が高ければ、高等教育への参加をためらう学生が出る可能性がある」と指摘した。

OECDによると、大学レベルの教育費を巡る公私の負担割合は近年、OECD平均では大きく変動していない。ただ家計負担を減らした国はある。チリは家計・民間企業の支出割合が19年は61%で、11年(78%)から17ポイント減少した。

桜美林大学の小林雅之教授(教育社会学)によると、高等教育費について日本では「保護者が負担すべきだ」という考え方が強い。「高等教育を受けていない人や子どもがいない世帯にとって、大学のコストを税金で負担するのは不公平という見方がある。北欧のような学費無償化は社会のコンセンサスを得るのが難しい」と指摘する。

ただ低所得層の厳しい進学状況を受け、政府は負担軽減策に乗り出した。文部科学省は20年度に低所得世帯向けに授業料減免と奨学金を組み合わせた制度を創設。1人当たりの年間最高約187万円を支援する内容で、21年度は30万人以上が活用した。

さらに24年度からは、世帯年収などの要件を緩和して支援対象を広げる。授業料が高くなりやすい理工農系に進む学生や、教育費負担がより重い多子世帯への支援を拡充する方向で制度設計を急いでいる。

支援策の拡充により、日本の高等教育への公費負担割合は今回の調査時点の19年より高まる公算が大きい。小林教授は「学費を無償化した欧州の国では学ぶ緊張感が薄れ、一部の学生が長期間在籍し続けるといった課題もみられる。公費の投入は効果を測りながら検討する必要がある」と語った。

(下川真理恵)