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松坂慶子さん 静かに燃える人に

中学生のときテレビドラマでデビューし、今年で55年を迎えた。「おとなしい子どもだったが、坂道があるとその坂の向こうに何があるのか見たいという好奇心があった」という。それでも「長く続けられたのは自分でも不思議。ものをつくる撮影現場の静かな情熱に触れるうち、私も静かに燃える人になり、いつの間にか夢中になっていた」とほほ笑む。

 

若いころは艶(あで)やかな美しさでファンを魅了したが、年齢を重ねた今、とぼけた役も似合う味わいのある俳優に。実りの日々に「充実感を味わっている」と語る。

自分自身が「共感できて、一緒に生きていける」と感じられる役を演じたいという。8日から始まる連続ドラマ「一橋桐子の犯罪日記」(NHK総合、毎週土曜夜10時)で演じる70歳の桐子は「分身のように感じた」。無二の親友を亡くした絶望と貧困の中、軽い罪を犯して刑務所で余生を過ごそうとするが、計画は予期せぬ方向に転がり始める。

桐子の人物像は「不器用で取りえがないと思い込む一方、スイッチが入ると冒険する」。不器用で運動神経もよくなく「『ウドの大木』といわれた」という自身のかつての姿と重ねた。「親友の言葉を支えになんとか笑って生きているうちに、いろんな人と出会い、思わぬところにたどり着く。70歳から始まる波瀾万丈(はらんばんじょう)の日々を桐子さんと一緒に体験している」と語る。

自身も古希を迎えた。「ひょんなことから女優になったが(様々な役を)演じて感じるのは、人には表面には出ていないものがいっぱいある」。昔から好きな朗読にも打ち込み「クラブ活動のように楽しい。変化や出会い、旅が元気のもと」と語る。(まつざか・けいこ=俳優)