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ガソリン補助金「円安対策」色濃く 原油相場下落でも膨張 既に3兆円、見えぬ出口

ロシアのウクライナ侵攻後の3月に比べ、ドル建ての原油価格は2割あまり下がった。この間、円が対ドルで2割ほど下落したために元売りの調達コストが高止まりしている。予算は既に3兆円を超えて膨らみ、出口が見通せない。原油高を理由に始まった政策をどこまで続けるのか丁寧な説明が求められる。

 

ガソリン補助は原油価格の上昇を受けて1月に始まった。いまは全国平均のガソリン価格が1リットルあたり168円程度になるよう、元売り各社に35円を上限に配っている。35円を超える分は半額を上乗せする。

当初、緊急避難措置として導入した仕組みは拡充を繰り返して続いている。月内にまとめる総合経済対策では、年末の期限をさらに延ばして年明け以降も継続する方針を打ち出す見通しだ。

ガソリン価格は原料となる原油の調達コストと連動する。調達コストはアジア市場の指標となる中東産ドバイ原油の価格と円相場が左右する。

全国平均の店頭価格は1月に1リットル170円に達し、補助金の発動が決まった。当時の調達コストは1リットルあたり59円程度。原油は1バレル約80ドル、為替は1ドル=115円ほどだった。

9月下旬の調達コストは1リットルあたり82円と、4割ほど膨らんだ。世界的な景気後退の懸念から原油相場自体は6月のピークから2割あまり下がり、1バレル90ドル程度と1月下旬の86ドルに近い水準になっている。

調達コストが上昇した主因は為替だ。最近は1ドル=145円前後で推移しており、115円程度だった1月中旬~3月上旬から3割近く円安が進んでいる。仮に為替水準を1ドル=115円として試算すると、足元の原油調達コストは1リットルあたり65円になる。

実際の82円との差である17円分は円安の影響とみなせる。上限35円の補助の半額ほどは円安を打ち消すために使われていることになる。

経済産業省資源エネルギー庁の定光裕樹資源・燃料部長は9月30日の衆院経済産業委員会で「導入当初と比べると、足元の価格の上昇幅は円安の影響のほうが相対的に大きい」と認めた。日銀の黒田東彦総裁も9月22日の金融政策決定会合後の記者会見で「輸入物価に為替レートが影響していることは事実」と認めた。

主要国ではガソリン価格が下落傾向にある。米国は8月、5カ月ぶりに1ガロン(3.8リットル)あたり4ドルを下回った。ドイツは燃料税の減税措置を8月末の期限で予定通り終えた。足元のガソリン価格は1月の1.1倍程度で抑えられている。

日本のガソリン補助は既に総額3兆円以上の予算を計上しており、財政を圧迫しつつある。店頭価格を抑える対症療法の補助金は市場メカニズムをゆがめる問題もある。

経済対策としてさらに延長する場合、政策の妥当性や持続可能性を改めて検証する必要がある。物価高の痛みが大きい低所得層や中小企業などに支援の的を絞る工夫や、脱炭素の取り組みとの整合性も焦点になる。