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災害とお金(下)公的支援策 住宅被害、最大300万円支給

良男 自宅が被災したら、再建を支援してくれるのかな。

 

幸子 まず知っておきたいのは、被災者生活再建支援金ね。最大300万円が支給される。住宅の被害状況に応じて全壊なら100万円、大規模半壊なら50万円の「基礎支援金」がまず支給される。そこに「加算支援金」が住宅の再建方法に応じて加算されるの。住宅を建設・購入する場合は200万円、補修の場合は100万円、公営住宅を除く賃貸住宅に入居した場合は50万円よ。内閣府によると、東日本大震災では現在までに計約3800億円が約20万世帯に支給された。

 住宅の全壊や半壊はどうやって判断するの?

幸子 市町村に申請すると、職員などが自宅を調べてくれるよ。被害状況の区分は、延べ床面積から判断する「損壊基準」や経済的被害から判断する「損害基準」で決める。損壊基準の場合、全壊は住家の損壊した部分の床面積が延べ床面積の70%以上よ。損壊部分が20%以上70%未満なら半壊で、なかでも50%以上70%未満は大規模半壊というの。結果は、罹災(りさい)証明書として受け取れるよ。

良男 災害で自宅が半壊以上の被害を受け、生活再建のために住宅を購入したり補修したりすれば支援金が出るわけだな。

幸子 注意が必要なのは、被災しても支援金が出ない場合があることよ。制度が適用されるには、一定数以上の住宅が全壊被害を受けた市町村に自宅がある必要があるの。18年6月に発生した大阪北部地震の際には、被災しても制度が適用されない市町村があった。

良男 それは気の毒だな。全壊までいかなくても修理や補修が必要なときがあると思うが。

幸子 日常生活に不可欠な上下水道やトイレなど最低限度の設備を応急で修理してくれる制度があるよ。費用を自分で用意できない人向けで、半壊以上なら1世帯あたり65万5000円まで修理を受けられる。ただし、利用は原則として災害発生の日から3カ月以内よ。

良男 被災者自身が負傷したときに支援はあるの?

幸子 両目の失明などの重い障害を負った場合は最大で250万円の災害障害見舞金が出る。亡くなったときは災害弔慰金ね。世帯の大黒柱の生計維持者が亡くなった場合は500万円、それ以外の人は250万円が支払われる。災害による直接の被害でなくとも、避難生活で身体に負担が生じ、持病が悪化して死亡したケースなども災害関連死として弔慰金給付の対象になることがあるよ。

 現金給付以外にどんな支援があるの?

幸子 ローンの減免や融資など色々よ。例えば災害援護資金は、住居の被害状況に応じて最大350万円が原則3年間無利子で市町村から借りられる。返済期間は10年で、4年目から利率3%になるけれど。

 もっと借りたいときは?

幸子 住宅金融支援機構の災害復興住宅融資がある。住宅の建設や購入、補修といった目的に応じて融資額は異なるけれど、例えば土地を取得して住宅を建設する場合は最大3700万円借りられる。返済期間は最長35年で、金利も比較的低い。

良男 税金面での優遇もあると聞いたことがある。

幸子 「雑損控除」と「災害減免法」ね。どちらか一方を選ぶ必要があるわ。雑損控除は災害や盗難など資産が被害を受けた場合、被害の度合いに応じて一定額を所得から差し引ける。災害減免法は住宅や家財の損害金額が時価の2分の1以上だった場合に所得税が全額免除、あるいは軽減されるの。ただし、税理士の荻窪輝明さんは「災害減免法の場合は年間所得が1000万円を超えると適用されないので注意が必要」と指摘していた。

良男 住宅の損害金額はどうやって計算するんだろう?

幸子 被災する直前の時価を基に計算することになるね。売買契約書などに記載されている取得価格からから経年劣化による減価分を引くなどして求めるのよ。全壊した場合は時価の全額、半壊の場合は50%相当が損失額となる。火災保険などから保険金を受け取れば、その分は損失額から差し引くの。

 確定申告が大変そう。

幸子 用意したいのは、罹災証明書、住居を購入した年月や価格が分かるもの、受け取った保険金額がわかるものね。雑損控除では災害関連支出も対象になるので、住居を撤去したり、土砂を取り除いたりした際の領収書などがあるといいね。また、雑損控除の額が膨らんで、損害を受けた年の総所得金額等の合計額を上回った場合、翌年以降最大3年間まで繰り越すことができる。ただし、それぞれの年ごとに確定申告が必要ね。

良男 制度をフル活用できれば、元の生活に戻れそうかな。

幸子 そうとも言い切れないの。ファイナンシャルプランナーの清水香さんは「自宅が全壊した上に住宅ローンの残債だけが残る場合もあり、公的な支援だけでは賄えない場合がある」と指摘していた。日ごろからの貯蓄や保険への加入などで事前に備えることが重要ね。