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三菱地所、受託資産5兆円 残高目標3年早く達成、不動産への投資旺盛

受託資産残高は2022年9月末までに5兆円を超える見通しだ。当初は25年ごろに5兆円まで増やす計画だった。3年ほど前倒しで達成することになる。欧米などで金融引き締めが進むが、不動産への投資需要は日本を中心に引き続き旺盛とみている。資産を上積みし、利益の下支え役に育てる。

 

投資マネジメント事業では、国内外の機関投資家などに対して上場不動産投資信託(REIT)や私募REIT、私募ファンドといった運用商品を提供している。投資家の資金を元手に物件を取得して運用し、手数料を得る。

投資家から集めた受託資産残高は19年3月末時点で約3兆1000億円だった。20年1月に発表した30年までの長期経営計画では、投資マネジメント事業で「20年代中盤に受託資産残高5兆円を目指す」と明記した。

25年ごろをメドに19年比で6割増やす方針だったが、22年3月末時点で約4兆5000億円まで膨らんだ。足元ではすでに5兆円を上回ったようだ。25年ごろの新たな目標額は明らかにしていないが、今後も運用商品を組成するなどして受託資産残高を増やしていく。

投資マネジメント事業の22年3月期の部門営業利益は前の期比4.4倍の265億円と、連結営業利益の約1割を占めた。米国ファンドの時価評価が増え、手数料収入が伸びた。その反動もあって23年3月期は前期と比べ51%減る見通しだが130億円を確保する。

三菱地所の梅田直樹執行役常務は今後も「毎年100億円規模の営業利益を計上できる」とみる。21年3月期以前は数十億円の部門営業利益だったが、より大きな貢献を見込む。

受託資産残高が増えた要因の一つは近年強まっていた世界的なカネ余りだ。各国で金融緩和が相次ぎ、機関投資家などが株式や債券市場以外の投資先を検討。新たな運用先として不動産が注目され、オフィスビルや物流施設、賃貸住宅、データセンターなどに投資する商品に資金が集まった。

他の不動産大手では三井不動産や東急不動産などが上場REITや私募REITを提供しているが、国内での事業が多い。三菱地所は欧米やアジアでも展開しており、「投資マネジメント事業は他社より進んでいる」(証券アナリスト)との声が聞かれる。より幅広い投資家の需要を取り込んでいる。

具体的には国内で00年に設立したジャパンリアルエステイトアセットマネジメントと三菱地所投資顧問を持つ。海外では10年に英国のヨーロッパキャピタルを子会社化し、米国のTAリアルティも買収。アジアでは19年にCLSAリアルエステートを傘下に入れた。

22年3月末時点の受託資産残高をエリア別でみると、米国が1兆8000億円と19年比8割増えた。三菱地所投資顧問などの国内も2割超拡大して2兆1000億円に伸びたが、海外全体は2兆4300億円とこの3年で国内全体の残高を上回った。

欧米の投資家を中心に不動産に対する資金需要が旺盛だった格好だ。欧米で運用するファンドが現地の不動産投資インデックスの構成銘柄に選ばれたことも投資家層の拡大につながった。

22年に入り、米連邦準備理事会(FRB)などの金融引き締めが強まっている。不動産業界では「投資家の一部が米国などでの不動産投資に慎重な姿勢に転じている」(CBREの大久保寛リサーチヘッド)との声が聞かれる。ただ、三菱地所の担当者は「長期の機関投資家を中心に投資意欲は大きく崩れていない」と説明する。

三菱地所の主力はオフィスビル賃貸を中心とした街づくりだ。ただ、再開発案件や新築分譲マンションの販売戸数などは時期によって変動することが多い。安定的に利益貢献が期待できる投資マネジメント事業を下支え役にする。

(原欣宏)