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イタリアにポピュリズム政権 親ロシア、西側結束に影 財政悪化加速の懸念

新政権が欧州連合(EU)と距離を置いてロシア寄りの立場を打ち出す懸念もあり、西側の結束に影を落としている。

 

FDIのメローニ党首は26日、ローマ市内で記者団に「すべてのイタリア人のために政治をする」と勝利宣言した。同氏はイタリア初の女性首相になる可能性がある。

FDIは反移民を掲げる排外主義的な極右政党。主要7カ国(G7)で極右政党が第1党になるのは第2次世界大戦後で初めてとみられる。

マッタレッラ大統領は10月13日に議会を招集、その後首相候補を指名する。上下両院の信任を経て新政権が発足する。

イタリア内務省によると、26日午後1時半(日本時間同午後8時半)時点で開票はほぼ終了し、FDIの得票率は26%に達した。2018年3月の前回選挙(4%)から大幅に上昇した。

伊大手紙レプブリカは、FDIや極右「同盟」、中道右派「フォルツァ・イタリア」からなる右派連合が上下院で過半数を獲得し、圧勝する見通しだと伝えた。与党の中道左派「民主党」は苦戦し、同党幹部は敗北を認めた。

右派連合の勝利は、既存政治に対する不満の高まりが背景にある。ウクライナ侵攻を発端にしたインフレは深刻で、物価上昇率は8%を超えた。エネルギー・食料高が生活を直撃し「私たちは(光熱費を)払わない」というスローガンを掲げた市民運動も発足した。

右派連合は物価高に対応するため、小規模事業者の税率を下げ一律化する対象拡大や最低年金の底上げ、保育所無償化など大衆受けする公約を掲げ、支持を集めた。ばらまきの色彩が濃く、財源確保の見通しはない。

イタリア財政の一段の悪化も懸念される。新型コロナウイルス禍で大規模な経済対策を打ち出したことで、3月末の政府債務残高は国内総生産(GDP)比で150%を超え、ユーロ圏ではギリシャに次いで高い。EUで3番目に経済規模が大きいイタリアが債務危機に陥れば、欧州全体への波及はさけられない。

対ロシアで米欧の結束が乱れる恐れもある。欧州中央銀行(ECB)前総裁のイタリアのドラギ首相はEUの対ロ制裁を後押ししてきたが、同盟のサルビーニ党首は制裁の効果を疑問視する。ベルルスコーニ氏はロシアのプーチン大統領の盟友として知られる。

メローニ氏自身は選挙戦で対ロ制裁を支持しEUとの協調姿勢をアピールしたが、もともとはEU懐疑派で「ブリュッセルの官僚主導」を批判していた。EUの厳格な財政ルールの見直しも主張し、首相に就任すればEUに厳しい態度でのぞむ可能性がある。

欧州では政治の右傾化が加速している。11日のスウェーデンの議会選は極右のスウェーデン民主党が第2党に浮上した。フランスでは6月の国民議会(下院)選で、ルペン氏率いる国民連合が与党連合、左派連合に続く第3の勢力となった。前回選挙で躍進したスペインの極右ボックスは23年の総選挙でさらに議席を増やすとの予測もある。