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三菱地所、全社員にデータ分析教育 役員含め1万人

データ分析の手法などを学ぶ約15時間の講座受講を必修とし、優秀な人材を選抜してマーケティングに生かせるデジタル技術を教える。経験に頼らず、データを生かした顧客への提案で効率的な営業に転換する。外資との競争が激しくなる中、デジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れる不動産業界でも人材育成が本格化する。

三菱地所がグループ全社員に専門人材の育成プログラムを設けるのは初めて。グループ全社員にデータ分析の手法を長時間かけて学ばせるのは産業界でも珍しい。

9月中に教育プログラムを順次始める。外部のデジタル関連企業なども交えてプログラムを作成し、まずはデジタルマーケティングの基礎知識を他の業界の事例とともに学んでもらう。その後、検索エンジンの最適化(SEO)対策やSNS(交流サイト)の分析など、データを使ったマーケティング手法も学ぶ。

新入社員から社長を含む役員まで約1万人を対象とする。各事業部から選抜された人などには、2023年春以降、街を訪れた人のデータを使ったより高度な専門講座を受講してもらう。

優秀な人材には「データサイエンティスト検定」や「データベーススペシャリスト試験」など、高度な資格取得を促す。

不動産会社の住宅販売などでは、各営業担当者の過去の成約事例などの経験に依存していた。データを全社で共有して分析する手法を採用し、社員や顧客の利便性や効率性の向上につなげる。

グループのDX投資額を22年度に300億円と前年度比2割増やす。社内にデータサイエンティストはいるが、各社員が一定のデジタル技術を持つ必要があると判断した。