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Web3 熱狂と不信3 「第三の道が開けた」

サンドボックス内では、2021年に米投資ファンドが430万ドル(当時のレートで約4億9000万円)で土地を購入するなど4万件近い取引が行われた。

一点ものの資産を売買する際に使われているのが非代替性トークン(NFT)。ブロックチェーン(分散型台帳)を活用してコピーや改ざんからデジタル資産を守る。新技術の登場で、Web3(ウェブスリー)の世界で誰もが手軽に買い物する時代はすぐそこまで迫っている。

NFTは希少性から投機的な値動きをする場合も多い。「限られた人たちだけでなく、安心して使ってもらう」。三井住友フィナンシャルグループデジタル戦略部の下入佐広光は強調する。明確な取引ルールはなく、普遍的な決済手段もない。銀行が間に立てば、公正な価格での売買支援ができるとみる。

8月、デジタル証券を使った資金調達の取り組みが個人投資家の注目を集めた。発行したのは不動産運用会社のケネディクス。神奈川県厚木市の物流施設を裏付け資産に施設の収益を受け取る権利のあるデジタル証券を1口100万円で募集したところ、予想を上回る個人投資家の需要があった。

調達額は66億円とデジタル証券としては国内最大。案件を取り仕切った大和証券の執行役員、板屋篤は「不動産投資は現物か不動産投資信託(REIT)くらいしか手段がなかったが、デジタル証券で第三の道が開けた」と手応えを実感する。

21年にREITが集めた資金は6000億円超あったが、デジタル証券にも可能性が広がる。デジタル証券は小口で発行でき、数十億円と1棟単位で資金を集めることができる。REITだと数百億円は必要になる。

「どんどん仕掛けていく」。SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝はこう言ってはばからない。SBIは23年をめどにデジタル証券の市場開設を計画する。

デジタル証券は既存の取引所を必要とせず、決済すれば瞬時に所有権が移る。権利確定に2日もかかる今の仕組みが一変する可能性がある。後ろ向きだった日本取引所グループはデジタル証券への参入を打ち出した。世界の潮流をつかめるか。この数年が勝負だ。