· 

金利引き上げ、当面はない/賃上げは物価に追いつかず 黒田総裁

大規模な金融緩和策を続けることの妥当性を強調したが、「動かぬ日銀」が市場からみれば円を売る材料となっている。円安は輸入物価の上昇に拍車をかける。賃金上昇を伴わず、日銀が望まない形で物価が上昇している。

 

黒田総裁の記者会見は政府・日銀の為替介入が判明する前に行われた。黒田総裁は急速に進む円安について「一方的な動きで、投機的な要因も影響している」と市場をけん制した。円安が「実質所得減少などを通じて、個人消費の下押し要因になっている」とマイナスの影響が出ていることにも言及した。

日銀は主要中銀で唯一マイナス金利政策を採用しているが「経済・物価状況が違う国を比較して、日本もなくす必要があるとはならない」と強調した。金融緩和を修正する見方を否定し「必要な時点まで金融緩和を継続する。必要があればちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」と従来の主張を繰り返した。

総務省が20日公表した8月の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.8%上昇し、5カ月連続で日銀が政策目標に掲げる2%を上回っている。それでも緩和を続ける理由について「賃金があがり、物価が安定的に上がるというかたちではなく、物価の安定の目標の達成は来年も、再来年も難しい状況だ」と説明した。

黒田総裁は来年度には2%を下回るとの見通しを示した。大幅な金融引き締めに動く欧米などを念頭に「8~10%のインフレで、金利引き上げなどの引き締めを行うのが当然」としたが、「物価の状況が違うもとで金融政策が異なるのは当然」と日銀固有の立場を強調した。

新型コロナウイルス禍からの経済回復は途上にあると日銀はみている。日銀は22日、中小企業向けの資金繰り支援を延長することを決めた。日銀は2020年3月に新型コロナ対応の融資を手がける金融機関に有利な条件で資金を供給する制度「コロナオペ」を導入した。22年3月に大企業や個人向けのコロナオペを終了し、中小向けは9月末を期限としてきた。

プロパー融資分は23年3月末に、制度融資分は22年12月末まで延長する。金融機関にゼロ金利で貸し出す「共通担保資金供給オペ」の上限額を撤廃することも決定した。