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インフレ下、低価格店に支持 オーケー、出店6割増 コスモス薬品は新規120店を維持

競合店より安い価格設定が、消費者の支持を集めている。首都圏地盤のオーケー(横浜市)は2022年度に例年より6割多い10店を出し、コスモス薬品は22年度に前年度と同水準の約120店を出す。一部チェーンが期間限定の値下げに乗り出すなど、小売り各社の価格戦略の重要性が増している。

首都圏地盤のオーケーは一定期間のみ値引きする「特売」をせず、大手メーカー品などを周囲の競合店より安く販売する。競合店より高い商品があった場合は値下げをする。2~3割安い商品もある。21年度の売上高は前の年度比3%増の約5200億円と好調で、物価高で強まる消費者の節約志向を追い風にして攻勢をかける。

過去3年は年間6店舗の出店だったが、22年度と23年度は年10店の出店を見込む。23年3月に千葉県船橋市に新店を出すほか、24年には東京・日本橋にも進出する。

同社は「EDLP(エブリデー・ロープライス、毎日安売り)」戦略を掲げる。一般的なスーパーと比べて取扱品目を絞り込んで一つの商品を大量に販売することで、仕入れ値の抑制につなげている。

食品や日用品メーカーからの値上げ要請が相次ぐなか、大量に商品を確保することで競合店と比べて値上げ時期を遅らせることもできる。同社の二宮涼太郎社長は「自社の価格だけが上がることはないようにしている」と語る。

 

「ディスカウントドラッグ」をうたう九州地盤のコスモス薬品は22年度に約120店舗を出店する。光熱費や仕入れ価格の上昇で、一部の競合チェーンで出店を抑制する動きも見られるなか、前の年度と同じ出店ペースを維持する。店舗数は関西や北関東などを含めて約1240店(5月末時点)に達した。

店舗作業の標準化などで運営コストを抑えて売上高販管費比率は約16%と、20%台が多いとされるスーパーやドラッグストア大手の水準を下回る。同社は売り上げの約半分を食品が占め、来店客が1度に購入する合計額で競合店に負けない低価格戦略を貫く。23年5月期の売上高は前期比約8%増の約8100億円を見込む。

神奈川県地盤の低価格スーパー、ロピア・ホールディングスは8月、埼玉県などでスーパーとホームセンターを運営するスーパーバリューを子会社化した。イオングループのビッグ・エーは6月に配送スタートアップのOniGO(オニゴー、東京・目黒)と提携し、ネットスーパーを始めた。最短10分で商品を届けることができ、対応店舗を年内に首都圏11店に広げる。

8月の消費者物価指数は前年同月比2.8%上昇した。一方で毎月勤労統計調査によると、7月の1人あたりの賃金は物価変動を考慮した実質で同1.3%減少している。物価の上昇に賃金の伸びが追いつかないなか、家計の負担を和らげようと低価格店で買い物する消費者が増えている。

コスモス薬品の毎月の既存店売上高は今年、5月を除いて前年実績を上回り続けている。神戸物産では低価格店「業務スーパー」の加盟店に供給する商品出荷(全店ベース)が16カ月連続で前年を上回る。

決済情報などの分析を手がけるナウキャスト(東京・千代田)によると、8月の「ディスカウントショップ」の利用者数は前年同月比17.7%増だった。「スーパー」(6.7%増)や「コンビニ」(4.3%増)の水準を大きく上回った。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は「ドン・キホーテ」などディスカウント事業が好調で、22年6月期の純利益が前の期比15%増の619億円だった。

消費者の節約志向の強まりを受け、一部商品を値下げする動きも出てきた。ディスカウントストアのMrMaxは8日から、大手メーカーの約2000品目を11月末まで値下げする。乾麺やチョコレートなどを8月末時点の販売価格から最大3割安くする。

海外でも低価格の小売りチェーンの支持が強まっている。米ウォルマートの5~7月期の既存店売上高は前年同期比約6%増だった。米国は日本以上にインフレが顕著で、中所得や高所得層の間でも低価格店への関心が高い。

(森匠太郎、平岡大輝)