· 

Web3 熱狂と不信2 脱GAFAじわり

「少ないデータでこれまでと同じことをしなければいけない時代になった」。米メタ(旧フェイスブック)で14年間にわたり最高執行責任者(COO)を務めたシェリル・サンドバーグは7月27日の決算発表で退任に際し、こう吐露した。追跡型広告などをテコに収益モデルを確立した成長の立役者の退任と、メタの社名変更はビッグテックの転換を象徴する。

「GAFA」と呼ばれる米巨大IT(情報技術)企業の中でも、メタや米グーグルは無料サービスで集めた個人データを武器に広告収益で急成長してきたが、世界的なプライバシー規制で岐路を迎えつつある。

暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの共同創設者でWeb3を提唱したギャビン・ウッドは政府や特定の企業に依存しない新たなネットの必要性を説いた。強大になりすぎた影響力を脱して「個」の力を強めるWeb3の思想に、IT技術者たちはネットの理想郷を見る。

1月には米グーグル傘下のユーチューブでゲーム部門を率いるライアン・ワイアットが仮想通貨関連の米ポリゴンに移籍を表明し、メタの幹部だったシェリス・トーレスも同米サークルに移った。

「一つの組織が世の中であれだけの力を持っていいのか」。分散型金融(DeFi)のセガファイナンスを立ち上げた豊崎亜里紗もグーグルを去った一人だ。「トークン」の保有者全員が投票して方針を決めて事業を育て、収益を分配するDAO(分散型自律組織)は特定の権力へ集中が起こりにくい。

テック株が多いナスダック総合株価指数の2022年上半期の下落率は3割弱と指数算出以来最悪となった。米CBインサイツによると、同期のスタートアップ調達額は21年下半期から27%も減ったが、ブロックチェーン(分散台帳)関連の資金調達は157億ドル(約2兆2千億円)と2%減にとどまる。Web3に限ると100億ドルと45%増えた。

2000年代にSNS(交流サイト)など双方向ネットのWeb2へ移行し、GAFAが主役の座につく中でも、一世を風靡した米マイクロソフトの「ウィンドウズ」は生き残った。東京大学大学院教授の茂木源人は「ブロックチェーンは平準化や脱中央集権につながる思想を持つがすべてが置き換わるとは考えにくい。GAFAと共存していく形になっていくのでは」と予想している。