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都内基準地価 商業地、2%上昇に転じる 都心周辺、率で上位 北千住駅付近や中野など

東京都が20日に発表した2022年の都内の基準地価(7月1日時点)は、商業地が2.0%上昇となり2年ぶりの上昇となった。住宅地は1.5%上昇で前年(0.2%上昇)よりも上昇幅が拡大し、10年連続の値上がりとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が和らぎ、利便性の高い地域を中心に上昇傾向を取り戻している。

 

商業地は2.0%上昇し、前年の0.3%下落からプラスに転じた。区部で2.2%上昇した。千代田、中央、港、新宿、渋谷の「都心5区」が1.0%上昇にとどまったのに対し、区別の上昇率は杉並区が3.8%で最大となり、北区(3.7%上昇)や中野区・荒川区(ともに3.5%上昇)が続いた。都心部に比べ住宅街に近い地域の上昇が目立った。多摩地域は1.5%上昇、島しょ部は0.7%下落した。

北千住(足立区)は交通利便性の高さなどが特徴(千住3丁目の旧日光街道)

北千住(足立区)は交通利便性の高さなどが特徴(千住3丁目の旧日光街道)

 

23区内の商業地で上昇率が最も高かったのは足立区千住3丁目の調査地点(6.2%上昇)。鉄道各線が乗り入れる北千住駅近くのエリアで、2位の同区千住旭町の調査地点(6.0%上昇)など上昇率トップ5のうち3カ所が同駅周辺だった。3位は中野区中野5丁目の地点(5.9%上昇)で、駅周辺の再開発が進んでいるJR・東京メトロの中野駅の近くだった。

 

一方、21年に下落が目立った中央区や千代田区の繁華街などの地点は下落傾向が続いた。中央区銀座7丁目が23区内の下落率トップ(2.3%下落)となり上位全5カ所が銀座や京橋など中央区の調査地点。ただ、21年に下落率トップだった新宿区歌舞伎町1丁目が横ばいに転じるなど、新宿エリアは再開発や飲食店の営業再開などもあり地価の上昇や横ばいが目立った。

飲食店やオフィスが多い地域では新型コロナの感染拡大後に飲食店の時短営業やテレワークの浸透などの影響を大きく受けた。総じて21年と比べ下落率は縮小したものの、一部で店舗や事務所を移転したり、縮小・撤退したりする動きも見られた。

 

多摩地区では価格が下落した地点はなく、府中市や立川市、西東京市などの調査地点が上位となった。都は「再開発等で地域整備が進んだ駅近接の商業地を中心に相対的に変動率の高い地点が見られる」としている。

基準地価の調査地点のうち、国土交通省の公示地価(1月1日時点)の調査地と2年間共通している207地点を対象に、区部と多摩地域の住宅地・商業地の地価変動率を半年単位で比較したところ、全ての地域で21年7月~22年1月(前半期)と22年1~7月(後半期)の両方で上昇、上昇幅は後半期が大きくなった。