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マイホーム、郊外人気再燃 住宅地価、14都道府県で上昇 立地・環境で選別進む

東京近郊のほか、福岡市や札幌市など再開発が進む地方の中核都市とその周辺の伸びが目立つ。好立地や好環境の住宅地に人気が集まる一方で、東北や四国といった地方は下落が続き「二極化」も進む。

 

都内のスタートアップに勤める30代の女性は21年夏、夫婦で神奈川県鎌倉市のJR大船駅近くに分譲戸建てを買った。4LDKの間取りに広い庭があり、週末は海や山でアウトドアを楽しめる。平日は在宅勤務で、東京都心に出る場合でも1時間かからない。

新型コロナウイルス流行下での働き方の変化などが購入を後押しした。都内で分譲マンションなども検討したが、「都会と自然のバランスがいい鎌倉は背伸びして都内で高額物件を探すよりもライフスタイルにぴったりだった」と話す。

31年ぶりの全国平均の住宅地上昇は、好立地の都市近郊がけん引役となった。神奈川県では鎌倉市(1.3%上昇)のほか、茅ケ崎市も2.5%上がり、湘南エリアでプラスが目立つ。埼玉県でも東京都心へのアクセスがいい川口市(2.4%上昇)などが伸びた。

 

 

再開発が進む地方の中核都市の周辺でも上昇機運は高まる。全国の住宅地の上昇率トップ10地点はすべて、北海道北広島市や江別市といった札幌市に隣接する市だった。福岡県でも博多駅を中心とした大型再開発が周辺都市に好影響を及ぼしている。佐賀県は住宅地が0.1%上昇と、1997年以来プラスに転じた。

「比較的割安な都心部周辺や郊外の好立地にマイホームの選択肢が広がり、需要の受け皿となった」。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)の大東雄人氏は分析する。住宅の種類では、広さや部屋数にゆとりがある戸建ての人気が高い。

2022年7月の新設住宅着工戸数は前年同月比5.4%減だったが、戸建て分譲住宅は同1.8%増と15カ月連続で伸びた。積水ハウスの仲井嘉浩社長は「分譲戸建て住宅は好調な売れ行き」と説明する。飯田グループホールディングス(GHD)は23年3月期の分譲戸建ての販売棟数が前年同期比1割増を見込む。東京・多摩地区の八王子市や西東京市などの伸びが大きく、3000万~4000万円台の物件を共働き世帯が購入する動きが目立つ。

東北や北陸、四国、中国の各地方は多くの県で住宅地の地価が下落するなど厳しい状況は続く。ライフルホームズ総研の中山登志朗チーフアナリストは「新型コロナの先行きを見ながら、住宅地としての人気は二極化が強まっていく」とみる。