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認知症での金融資産凍結リスク 関西で26万人、計9兆円 おカネ知って納得

三井住友信託銀行の調査によるもので、凍結資産の総額は9兆円にものぼるという。高齢社会の進展で、認知症患者が増えるためだ。全国に共通する課題だが、関西特有の事情も見え隠れしている。

認知症の発症などにより、適切な判断能力を失うと、振り込め詐欺に引っかかるなど金融トラブルに巻き込まれかねない。こうした点から本人や家族などからの申し出を受け、銀行口座からの引き出しを凍結する措置を金融機関は取ることができる。

顧客の財産を守ることができる一方、手続きや費用負担が増える側面もある。

例えば、弁護士が成年後見人として選ばれると、「月額で数万円程度の費用が発生することもある」と三井住友信託銀行の田村直史企画チーム長は解説する。本人が老後の資金を蓄えていても、口座凍結で介護や入院などの費用を家族が一度立て替える必要も出てくる。引き出す手続きが煩雑なためだ。

関西エリアではこの問題が特に深刻になりそうだ。

総務省の調査をもとに三井住友信託銀がまとめたデータによると、世帯主が65歳以上の1世帯あたりの金融資産残高で、都道府県別の2位には奈良県、5位に兵庫県がランクインしている。全国平均と比べても金融資産の残高は多い。

こうした世帯は30年までに金融資産が凍結される可能性が出てくる。国立社会保障・人口問題研究所の調査をもとに三井住友信託銀が試算したところ、認知症リスクが高まる80歳以上の人口割合は30年で関西2府4県では13.4%になる。関東6都県(12.2%)や中京3県(12.2%)に比べても高い数値だ。

三井住友信託銀の田村企画チーム長は「1960年代に地方から関西に一定の人口流入があった後、70年代半ばごろから人口流出が続いたため」と特有の事情を説明する。

資産が凍結されかねない事態は年齢と共にリスクが高まるだけに、普段から備えておくことが求められる。例えば、弁護士など第三者が本人に代わって財産管理する成年後見制度、資産や不動産などの財産を家族などに信託して管理・処分などを任せる民事信託などがある。こうした制度活用も視野に入れる必要がありそうだ。

(長縄雄輝)