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値上げ前、7割で「駆け込み」 食品・日用品 消費者、生活防衛強める 日経POS調査

スーパー約470店の販売データを集める日経POS(販売時点情報管理)情報を基に2021年から22年にかけて値上げされた21品目を調べたところ、その前の値上げ局面に比べて4割ほど多い14品目で駆け込み消費がみられた。電気代なども上昇する中で、消費者の生活防衛意識がうかがえる。

 

レトルトカレーは大塚食品が「ボンカレーゴールド」を4月に値上げした。日経POSによると、同社が1月に値上げを表明すると、レトルトカレー全体の販売数量が2月に前年同月比4%、3月に同2%ほど増えた。

食品や日用品はボンカレーゴールドのような高シェア商品が値上げされると、相前後して競合各社も足並みをそろえることが多い。このため、駆け込み消費も品目全体に広がりやすい。レトルトカレーは大塚食品が前回値上げした16年には直前に販売数量の伸びはみられなかった。

 

 

冷凍食品はニチレイフーズが21年11月からの値上げを発表した同年8月に販売数量が前年同月比14%増え、9~10月も5%ほど前年を上回った。前回15年の値上げ局面よりも伸びが大きい傾向にある。

21年7月と22年3月に値上げされたマヨネーズは、21年6月に販売数量が7%増、22年2月は4%増と販売量が大きく伸びた。キユーピーや味の素といった大手が一斉に値上げした影響が大きかったようだ。マヨネーズも13年の値上げ前には買いだめがみられなかった品目だ。

家庭で長期間ストックしておける日用品では、トイレットペーパーなどの買いだめが目立つ。大王製紙の「エリエール」など主力ブランドが3~4月に値上げ。その直前の2~3月に販売数量が前年比6~9%増えた。前回の値上げ局面である19年は1%減だった。

調査した21品目のうち7割弱にあたる14品目で駆け込み消費とみられる販売増が起きていた。5割弱の10品目だった前回の値上げ局面に比べて、家計は警戒感を強めているようだ。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「消費支出に占める食料費とエネルギーの割合は15年以降で最高水準になっている」と指摘。「節約しにくい費目である食料費とエネルギーの支出は痛みを感じやすい」と話す。

こうした消費者心理を見越した食品スーパーなどが値上げ品目を対象にした販促で集客をはかり、駆け込み消費を促している面もある。首都圏の中堅スーパーは「ティッシュや缶詰などの日持ちがする商品を値上げ前に特売している」という。東京都の女性会社員(40代)は「レギュラーコーヒーなどを値上げ前にまとめ買いした」。

一方、前回の値上げ局面では駆け込み消費がみられた食パンやソーセージをみると、今回は値上げ前も販売数量は前年割れで推移した。こうした食品は日持ちしにくかったり、冷蔵庫で場所をとったりする。消費者は買いだめ品目にメリハリを利かせているとみられる。単価の低いカップ麺も駆け込み消費はみられなかった。

原材料価格の高止まりにエネルギー価格高騰と為替の円安が重なり、食品や日用品の値上げはさらに広がる。10月には清涼飲料やビールが値上げされる。上場食品企業105社を対象にした帝国データバンクの調査によると、同月に値上げされる商品は6532品にのぼり、22年に入って月別で最も多い。

レトルトカレーは値上げ以降、5~6月の販売数量が前年同月を1~8%下回っている。4~5月にカゴメやキッコーマンが相次いで値上げしたケチャップなどトマト調味料も3月に2%程度増えたものの、4月以降は前年割れだ。メーカーにとっては消費者の離反を抑えられるかどうかの正念場になる。