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自営業の変化と働き方(7) コロナが与えた様々な影響 明治学院大学准教授 仲修平

コロナの影響は自営業に対してどのような影響を及ぼしたのでしょうか。ここでは、その二面性を考えます。

まず、コロナ下においても「自営業に踏みとどまった」層が一定の厚みを持っているという側面です。既に述べた通り、初めての緊急事態宣言が発出された2020年4月から10月にかけて、自営業者数は増加に転じていました。その後は減少と増加を繰り返していますが、少なくとも自営業からの流出が著しいとはいえない状況です。

自営業者が踏みとどまった理由を分析した東京大学の玄田有史教授は、テレワークやオンライン化など、仕事のデジタル対応が一因であると指摘しています。感染拡大によりデジタル化の波は不可逆的に進むことになり、雇用労働に限らず自営業にも押し寄せました。とりわけ、オンライン化は専門・技術職、高学歴、高所得の自営業者を中心に進む一方、それ以外の自営業者では利活用が進んでいるとはいえない実態も浮き彫りになりました。

もうひとつの側面は、コロナ下でより深い傷を負った自営業者たちの姿です。関西学院大学の長松奈美江教授による収入減少の分析に基づくと、正社員や非正規雇用でも多くの人々が収入を減少させていましたが、なかでも自営業者の収入減少の度合いが大きくなっています。

しかも、他の就業形態と比べ、収入の減少が長期化していることもわかっています。また、家計状況の分析からは、自営業者はコロナ感染拡大以前よりも家計が悪化しており、預貯金の切り崩しや借り入れで家計を賄っていた割合が2割に達していました。

新型コロナの感染拡大が自営業に与えた影響は一様ではないことが、各種の調査でわかり始めています。感染が長期化している状況に照らすと、何とか耐え忍んできた自営業者たちも、事業継続の限界に達する可能性があるかもしれません。次回は、自営業からの流出に焦点を当てます。