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梅毒感染者が最多に 9月上旬で8000人、昨年上回る 無料検査や受診、呼びかけ

国立感染症研究所は13日、今年は9月上旬までに8000人超が確認されたと発表した。現行法に基づく調査が始まった1999年以降で最多だった2021年を上回った。感染者は増加傾向にあるが、詳しい原因は分かっていない。症状がほとんどない場合もあり、専門家は早期の検査や受診を呼びかける。

国立感染症研究所によると、22年は9月4日までに8155人(速報値)の梅毒の感染者が全国で報告された。99年以降で最多だった21年の同時期と比べ1.7倍で、年間の7983人(暫定値)を超えた。年間で感染者が1万人を超える可能性もある。

22年上半期の感染者は男性67%、女性33%だった。年代別では女性は約6割が20代だったのに対し、男性は20~40代がそれぞれ2割台で年齢の高い層にも一定の広がりがみられた。

感染者は戦後、年間20万人を超えていたとされる。1999年以降は500人前後で横ばいだったが、2013年に初めて1千人を超えて以降、急激な増加が続いている。世界でも増えている地域があるという。

性感染症内科のプライベートケアクリニック東京(東京・新宿)には、腹や背中に梅毒による発疹が出た20代の女性が多く訪れる。

同クリニックを受診した感染者は最多だった21年の約260人を上回るペースで推移。尾上泰彦院長は「SNS(交流サイト)を通じての性行為を原因と話す人も増えているが、なぜ急増したかはっきりとはわからない」と話す。

感染しても症状がほとんどなく放置している人もいるとみられる。

尾上院長によると、梅毒の感染は本人も医師も気付きにくい。「症状や特徴があまり知られてないうえ、性に関することから受診をためらう人も少なくない」という。

各地の保健所ではエイズウイルス(HIV)と合わせ、無料検査を匿名で受けられる。東京都や大阪市など一部地域では平日の夜間や休日に検査が可能な施設もある。

梅毒に詳しい神戸大学の重村克巳准教授は「避妊具の使用など基本的な予防策のほか、不特定多数との性交渉のリスクを知ることが感染抑制につながる。心当たりがあれば早めに医療機関を受診してほしい」と話す。

 

梅毒 主に性行為によって「梅毒トレポネーマ」という細菌が侵入してかかる感染症。3~6週間程度の潜伏期間を経て体にしこりや赤い発疹が出たり、発熱や倦怠(けんたい)感などの症状が現れたりする。痛みやかゆみがほとんどなく、症状が自然に消えることもある。ただ完治したわけではなく、他人にうつす可能性がある。