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南アルプス いらっしゃい 山梨の官民、受け入れ環境整備 山小屋を新築移転・格安タクシー運行

山小屋をリニューアルし、登山口と最寄り駅とを結ぶ格安タクシーを運行するなど受け入れ環境を整備。来訪者の増加に伴い補修が必要となる登山道を守りつつ誘客を進める。

 

南アルプスは日本三大アルプスの一つで、山梨・長野・静岡3県にまたがる。富士山に次ぐ日本第2の高峰、北岳(標高3193メートル、山梨県南アルプス市)を筆頭に、標高3000メートル前後の山々が連なる。

ただ、長野県の上高地や白馬など一般観光客も多く訪れる北アルプスに比べると、南アルプスは山深く手つかずの原生林が残る半面、交通アクセスや宿泊施設の充実度では見劣りしていた。

こうした課題の解消に向け、山梨県をはじめとする地元自治体と企業による取り組みが活発化している。

 

6月に開業した新「広河原山荘」は11月3日まで営業する(山梨県南アルプス市)

6月に開業した新「広河原山荘」は11月3日まで営業する(山梨県南アルプス市)

南アルプス市は北岳登山の玄関口、広河原にあった山小屋「広河原山荘」を新築移転し6月に開業した。テラス席を備えたプチホテルのような外観で、山小屋で一般的な広い相部屋のほかに、グループや家族がくつろげるベッド付きの個室8室も用意した。食堂では地元食材を利用した洋食メニューを提供する。

山荘の運営を受託する山梨交通(甲府市)は、JR甲府駅と広河原を2時間で結ぶ路線バスも運行。登山客だけでなく一般観光客も呼び込もうと、バスと山荘の宿泊をセットにした「南アルプス体験ツアー」を企画した。ガイド付きのトレッキングや星空観測を体験してもらい、広河原滞在の魅力を広める。

登山ツアーなどを企画するファーストアッセント(山梨県北杜市)はアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」や北杜市と連携し、JR小淵沢駅(同)と登山口とを結ぶ「マウンテンタクシー」を2021年から運行している。

 

マウンテンタクシーはJR小淵沢駅から甲斐駒ケ岳、八ケ岳南部の登山口まで格安で乗車できる

マウンテンタクシーはJR小淵沢駅から甲斐駒ケ岳、八ケ岳南部の登山口まで格安で乗車できる

南アルプス北部の甲斐駒ケ岳登山口と、八ケ岳南部の登山口の各方面に1日1便の事前予約制。通常は片道4000円ほどかかる道のりを平日は1000円、休日は1500円で乗車できる。

ファーストアッセントは甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳で山小屋も運営している。少人数でも割安で登山口まで向かえるようにすることで、登山客を増やすとともに宿泊利用につなげる狙いがある。

21年は両方面合わせて500人弱の利用があったが、認知度が高まった22年は1000人ほどに増える見込みだという。

山梨県も南アルプスの観光振興に本腰を入れ始めた。4月に「南アルプス観光振興室」を新設。北岳の山頂近くにある県所有の「北岳山荘」を改修して23年度に再開業する。南アルプスへの旅行ニーズを創出するための調査にも着手している。

(上月直之、松永高幸)