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ESG投資「未上場」にも 米ブラックストーンは14兆円

米大手ブラックストーンは今後10年で1000億ドル(約14兆円)を投じる。ESG投資はこれまで上場資産向けが多かった。ファンドマネーを受け入れたい非上場企業も、ESG対応を迫られることになる。

 

ブラックストーンは専門組織を立ち上げ、今後10年で脱炭素などESGの取り組みを重視する未公開企業を中心に1000億ドルを投じる。2021年までの2年間では計150億ドル程度で、再生可能エネルギー企業などに投資してきた。ジョン・グレイ社長兼最高執行責任者は「脱炭素を支えるには民間資本が不可欠」と話し、投資を加速させる。

プライベート・エクイティ(PE)ファンドの米アポロ・グローバル・マネジメントは今後5年間で500億ドルを脱炭素関連に振り向ける。米JPモルガン・アセット・マネジメントも気候変動対応などを手掛ける未公開企業に投資する専門チームを立ち上げた。米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は専門家による社内の調査委員会を作り、未公開企業などへの投資を探る。

英調査会社プレキンによると、非上場企業の株式や債券、不動産などの未上場資産に投資するファンドの21年の資産残高は世界で10.6兆ドル。4割にあたる4.5兆ドルが脱炭素への取り組みや持続可能な農業といったESGの要素を考慮に入れている。20年の3.7兆ドルから約2割増えた。

背景にあるのが、年金基金など「ファンドへの資金の出し手」の意識の変化だ。PEファンドや資産運用会社は、年金などの機関投資家などから資金を集めて投資する。投資先の選定にはこうした資金の出し手の意向が色濃く反映される。

英プレキンがファンドの運用担当者などに「ESGに関する投資方針を採用している理由」を尋ねたところ、72%のファンドが「出資者からの要望」を挙げた。英資産運用会社コラー・キャピタルが21年に実施した調査でも、欧州の出資者の半数以上がESG対応の不足を理由に出資を拒否したと指摘している。

投資家が上場企業に対して取引先も含めた排出量の開示を求める動きを強めるなか、対応できない非上場企業はサプライチェーン(供給網)から外されてしまうリスクも高まっている。

米最大の公的年金基金のカリフォルニア州職員退職年金基金と米投資ファンドのカーライル・グループは21年、未上場企業のESGデータを収集し評価基準をつくる取り組みを始めた。未上場資産に流れ込むESGマネーを有効に活用できるか、データや情報開示の充実がカギを握る。

(ESGエディター 古賀雄大)