四半期の減少額では新型コロナウイルス禍初期の20年1~3月期を超え、過去最大を記録した。FRBの急ピッチの利上げなどで進んだ株安が響いた。
純資産は家計の保有する金融商品や不動産といった総資産から住宅ローンなどの負債を差し引いた金額を指す。コロナ禍の初期に急減したあと、21年末にかけて7期連続で増えていたが、22年に入ってからは2期続けて減少した。4~6月期の減少率は4.1%と、20年1~3月期(5.2%)やリーマン危機直後の08年10~12月期(4.9%)などに次ぐ大規模なものになった。
落ち込みの主因は、インフレ抑制を急ぐFRBの利上げ加速や保有資産を減らす量的引き締め(QT)を引き金とした株価の急落だ。4~6月はS&P500種株価指数が16%強下落し、家計が直接・間接的に保有する株式は7.7兆ドル減と過去最大の減少額になった。住宅価格は上昇基調が続き、家計の持つ不動産の価値は約1.4兆ドル増えたが、資産全体の目減りを補いきれなかった。
米国では株高などによる資産効果で個人消費が活発になる傾向がある。足元ではFRBの引き締め路線維持で株安が続き、家計の保有資産の回復も当面見込みにくいなか、消費にどの程度の影響を及ぼすかが米景気の先行きを占う焦点の一つになる。

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