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「あんこ」復権、静かなブーム 低脂質で食物繊維が豊富 魅力発信「あんバサダー」も

見た目の「かわいさ」と乳製品やパン類、果物にも合う汎用性の高さから、最近はさまざまなスイーツとのコラボレーションも実現。静かなブームを背景に「日本あんこ協会」なる団体も誕生、「あんバサダー」と呼ばれる会員は8千人を超えた。

茨城県牛久市のイラストレーター、秋山優里さんがあんこを頻繁に口にするようになったのは、ダイエットを意識し始めた高校生の頃。洋菓子より脂質が少ないと知り、おやつにたい焼きやどら焼き、もなかを食べるように。「シンプルなのに、それぞれに特徴がある」と、次第にあんこにはまっていった。

1年ほど前から砂糖を使わない発酵あんこを自作している。そのままつまんだり、ご飯にのせたり、きなこをかけたり。「カロリーを気にせずバクバク食べています」

一見甘味とは無縁に見えるトレーニー(トレーニングする人)にも、あんこは重宝されている。

ボディービルダーとしても活躍する会社員の長井寛幸さん=千葉県松戸市=は「食事制限で乱れがちな腸内環境を整えるのに、炭水化物と食物繊維が豊富なあんこは欠かせない」ときっぱり。最近は米国のボディービルダーの間でも「ANKO」は定着しつつあると話す。企業側もニーズを捉え、トレーニング中に飲めるあんこや、スティックタイプのようかんなども売られるようになった。

2018年に誕生した日本あんこ協会で会長を務める、にしいあんこさんは、代替わりを迎えた老舗和菓子店の若い経営者が新しい価値を提案しようとあんこをさまざまな形に"進化"させ、さらに若い世代がインスタグラムやツイッターに写真を載せるなどしたことがブームのきっかけになったと指摘する。

協会に入るには、あんこの歴史や栄養に関する「あんこ検定」に合格することが条件。あんこの食べ比べをしたり、好きな和菓子を紹介しあったりが主な活動で、会員数は設立時の17人から徐々に増加。今年5月には8千人を超えた。にしいさんが17年に運営を始めた和菓子のインターネット通販サイトも、19年の売り上げは前年の約3倍を記録したという。

管理栄養士の資格を持つ十文字学園女子大講師の芝崎本実さんによると、あんこはかつて神様にささげるために作られ、形の悪いものは民衆に配られたとされている。「特に皮まで食べられる粒あんはまさに『もったいない精神』の象徴。『おいしい』や『かわいい』以外の面にも注目してほしい」と話した。