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【社説】NISAの使い勝手を高め普及を促せ

現行のNISAの仕組みはわかりづらく、利用者目線にたった制度になっていない。使い勝手を高めることで幅広い国民の利用を促し、家計資産の「貯蓄から投資へ」の流れを後押ししてほしい。

2014年に始まったNISAは、株や投資信託などの配当や売却益が非課税になる。「一般NISA」「つみたてNISA」など複数の仕組みが併存する。従来計画では24年から株などに自由に投資できる一般NISAにも積み立て投資を組み込む一方、つみたてNISAも存続し、制度がもっとわかりづらくなる予定だった。

一般の国民にとって投資は難しく、とっつきにくいものだ。NISAは複雑すぎて、投資をはじめるハードルを一段と高めてしまっている。金融庁が24年からの制度変更を撤回し、複数の仕組みを一本化して分かりやすくする案を出したのは評価できる。

NISAが長期投資の受け皿をうたいながら、時限措置なのは辻つまが合わない。一般NISAで5年、つみたてNISAで20年の非課税投資期間の恒久化は必須だ。あわせて一般NISAで年120万円の投資枠は、モデルとなった英国の年2万ポンド(約320万円)並みに引き上げるべきだ。

NISAは租税特別措置法にもとづく税法上の特例という位置づけだ。国家戦略として制度を普及させるのであれば、根拠となる恒久法をつくるのが筋であろう。

投資促進策には「金持ち優遇」という批判がつきまとってきた。だが、幅広い国民が若いうちからたとえ少額からでも長期投資で資産を増やすことは、分厚い中間層の形成につながり、社会の分断や格差の拡大を抑止するはずだ。

NISAの利用者は国民の約1割にとどまっており、これの引き上げが急務である。

そのためには、金融教育を拡充する必要がある。学校教育に加え、社会人も職場などで投資の意義を学べる場を増やしたい。

英国は専門の公共機関をつくり、年金や投資などお金に関する判断を助ける情報を電話やオンラインで国民に提供する。金融庁は英国にならい、金融機関に頼らない金融教育や情報提供の公的なサービスを検討すべきだ。投資先である上場企業が、個人向けの情報提供にもっと力を入れる必要があるのは、言うまでもない。