米祝日、空の旅行者数876万人 初のコロナ前水準超え

新型コロナの感染拡大期に外出や旅行を制限されていた個人の旅行需要が強い実態が鮮明になった。

米運輸保安局(TSA)が集計する米空港の通過者数は4日間で累計876万人となり、19年の週末の実績値を上回った。米国では今年9月5日は祝日のレイバーデー(労働の日)で、土日を含めて連休をとる個人が多い。

米国では9月から新学期が始まるため、レイバーデーの週末は米航空大手各社にとって夏休みシーズン最後の集客のヤマ場だ。22年4~6月期決算でそろって黒字回復した米航空大手の3社は、7~9月期のさらなる増益を見込んでいたが、想定通り一定の収益を確保したとみられる。

今後は個人顧客に代わって法人客の需要がどれだけ回復するかが焦点となる。航空会社やホテルなどが加盟する国際ビジネス旅行協会(GBTA)によると、長引くインフレに伴う航空運賃の高止まりや、中国の「ゼロコロナ政策」による渡航制限などで法人需要の回復には時間がかかるという。今年8月、企業の出張費が19年の水準を超える時期について24年から26年半ばに先送りする見通しを公表した。

米国の実質経済成長率は4~6月期まで2四半期連続でマイナスとなり、先行きも景気後退局面に入るリスクが意識されている。仮に渡航制限などが緩和されても米企業が不要不急の出張費を手控える可能性がある。個人の間ではコロナ下で控えていた旅行を楽しむ「リベンジ消費」がある程度続く場合、法人需要の伸び悩みをどこまで下支えするかが航空各社の業績のカギを握る。