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薬局6万店、店頭販売に転機 大手各社、アマゾン参入を警戒

コンビニエンスストアを上回る6万店を超え、飽和感が指摘されて久しい調剤薬局。米アマゾン・ドット・コムが日本でオンライン薬局に乗り出すことで、競争環境が一変する可能性がある。オンラインで薬剤師から服薬指導を受け、外出せずに処方薬を受け取る人が増えれば、病院前などの「門前」に薬局を構える伝統的なビジネスモデルが崩れかねないからだ。(1面参照

調剤薬局は従来、病院前に店舗を構えることで通院する患者からの処方箋を受けていた。一方でオンライン薬局は店舗網や立地に関係なく、ネット上で患者との接点を容易につくることができる。投資余力のない中小チェーンでも、アマゾンのプラットフォームを利用することで、オンライン服薬指導から処方薬の配送までを提供できるようになる。店舗網を強みとする大手の薬局チェーンにとっては脅威だ。

「アマゾンから誘いを受けたが、様子を見たい」。調剤薬局チェーン大手の幹部はこう話す。同幹部によると、アマゾンは複数の大手チェーンに声をかけていたという。だが大手各社はアマゾンの要請に応じていないもようだ。背景には、アマゾンへの警戒感があるとみられる。

大手薬局チェーンも、顧客つなぎ留めのためにオンライン薬局に取り組み始めている。

アインホールディングス(HD)はビデオ通話で服薬指導を実施できる専用アプリを始めた。クオールHDも医療スタートアップのマイシンやメドレーのオンライン服薬指導サービスを採用している。イオンリテールが運営する「イオン薬局」は2024年度をめどに処方薬の即日配送サービスを31都府県で事業化する。

ただ、アマゾンが自前の会員基盤や物流インフラを活用すれば「オンライン薬局サービスで太刀打ちできない」(調剤薬局幹部)との声もあがる。

21年度の倒産件数が04年度以降で最多の23件となるなど、調剤薬局の淘汰も進む。アマゾン参入という「黒船」は大手や中小を問わず、従来のビジネスモデルを見直す契機となる。

政府の規制改革推進会議は厚生労働省に対し、薬局の調剤業務の外部委託を認めるよう繰り返し求めてきた。厚労省や日本薬剤師会は消極的だ。

規制改革をテコに薬剤師業務を効率化し、特色あるサービスを展開できなければ、従来の薬局市場は大きな影響を受けることになる。