「スシロー」年初来安値 相次ぐ不祥事に売り 銘柄診断

終値は141円(6%)安の2070円。下落率は業種別の東証株価指数(TOPIX)の小売業(1%安)より大きかった。足元の株価は年初来高値の半値以下に落ち込む。

株価低迷の背景には相次ぐ不祥事による客離れがある。6月に消費者庁から景品表示法違反(おとり広告)による措置命令を受けた。8月31日にはメニューの「まぐろ」と「鉄火巻」に使われるマグロの種類を巡り、担当者が誤った説明をしていたことも判明した。

不祥事の影響が長期化して「株価の反転は難しい」(外資証券)とみられる中、10月には値上げが控える。各店舗ごとの最低価格を一皿120~150円にするが、「値上げは単価上昇・原価率の改善効果はあるが客数減で相殺され、大きな増益要因にはならない」(SMBC日興証券の皆川良造氏)との見方もある。

自己資本利益率(ROE)は23%と同業のくら寿司(4%)や銚子丸(14%)を上回る。効率性を評価した買い戻しが入る可能性はあるが、信頼回復の道は険しく、当面は下値を探る動きが続くもようだ。