JR東日本、鉄道人員4000人縮小へ 不動産などに再配置 【イブニングスクープ】

【この記事のポイント】
JR東日本は鉄道事業の社員数を約1割縮小
・在宅勤務の定着などでコロナ前回復見込めず
・人員は不動産や流通などの成長分野に再配置

 

新型コロナウイルス禍で減少した通勤客は回復が鈍い。鉄道の人員は不動産や流通などの成長分野へ回す方針で、コロナ後の需要の変化をにらんだ人材の再配置の動きが本格化してきた。

深沢祐二社長が日本経済新聞の取材で明らかにした。JR東で現在、鉄道事業の運営に必要な人員は約3万4000人(連結従業員数は約7万1000人)。今後の目標として3万人未満に減らす方針を示した。

早期退職などは募らず、定年退職などの自然減や非鉄道事業への配置転換で対応する。コロナ禍後に鉄道事業の大幅な人員縮小の動きが明らかになるのは大手で初めてになる。

コロナ禍の長期化で鉄道の需要は回復が遅れている。JR東の22年4~6月期の運輸収入はコロナ前の19年同期に比べて7割の水準にとどまる。深沢社長は在宅勤務の定着などで定期券の収入や新幹線の出張客は「コロナ前に戻ることはない」と語る。

28年3月期に鉄道事業の営業費用を20年3月期比1000億円減らす目標を掲げ、700億円まで削減のめどがついた。主要駅の「みどりの窓口」は20年比2割減らしたほか、首都圏ではワンマン運転の拡大や線路などの保守作業のデジタル化を加速している。赤字の地方路線でもバスへの転換などを検討してコストを減らす。

JR東は人口減も見据えて商業施設の「ルミネ」や東京都港区の高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発など非鉄道からの収益を増やす方針だ。連結売上高の6割強を占める鉄道事業の比率を将来は5割程度まで下げる計画だ。鉄道事業の従業員の学び直しなどを支援して再配置するほか、副業なども促進する。

運輸業界では日本航空がビジネス需要が戻らないとみて、約3000人の従業員を主力の航空事業から格安航空会社(LCC)やマイル事業などの非航空分野にシフトする方針を決めている。