円が一時139円台、米利上げ継続姿勢 日経平均760円安

29日の外国為替市場では円が対ドルで下落し、一時1ドル=139円台を付けた。139円台を付けるのは7月中旬以来1カ月半ぶり。日米金利差の拡大を見込んでドルを買って円を売る動きが広がった。米景気の先行き不透明感から日経平均株価も大きく下げた。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が26日、経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレに対応するために利上げを継続する姿勢を示した。講演前と比べると、2円以上円安・ドル高が進んだ。米国の金利が上がる一方、日本の金利は日銀の政策で低く抑えられているため、より多い金利収入を得られるドルに資金が流入した。

円相場は7月14日に24年ぶりの安値となる139円38銭を付けており、その水準が徐々に近づいてきた。「FRBの(金融引き締めを志向する)タカ派化が鮮明で、世界の中でもドルの強さが目立っている」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)との見方があり、1998年8月以来の140円台への下落も視野に入ってきた。

利上げの継続は米景気を冷やすことにつながるため、株式市場にも動揺が広がった。日経平均株価は29日、前週末比762円(2.7%)安い2万7878円となった。下げ幅は2カ月半ぶりの大きさになった。電機や機械、海運など景気動向に敏感な銘柄を中心に売りが膨らんだ。

アジアでも半導体産業が盛んな台湾などで株価が下がった。利上げの期間が長くなる可能性が高まったことで「来年の企業業績への懸念が広がっている」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫氏)との見方があり、当面軟調な展開が続く可能性がある。