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雇調金コロナ特例3000円縮小 10月から上限1万2000円

いまは最大で日額1万5000円の支給上限を10月から1万2000円に引き下げる。雇用維持のコロナ禍の危機対応から転換し、人手が必要な産業への労働移動支援などを強化する。

雇調金は企業が従業員に払う休業手当を助成する制度だ。通常は1人1日あたり8355円の上限を特例で最大1万5000円に引き上げていた。今回、まん延防止等重点措置などの対象地域や業績の落ち込みが大きい企業に対する上限を初めて引き下げる。

上限1万2000円の特例は11月末までとする。12月以降の支給要件は感染状況などを踏まえて改めて検討する。通常額へと段階的な縮小を図る。

政府は雇調金の特例を2020年1月から適用し、航空や飲食、レジャー関連などコロナ禍で消費需要が急減した業種で特に利用されてきた。今月19日までの支給決定額は累計で5兆9900億円に上る。

危機下で失業率を抑え、事業の本格再開に備える役割を果たしてきたが、特例が長引くことで、労働移動の停滞といった副作用があるとの指摘もあった。

政府は6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で「段階的に縮減していく」との方針を示した。今回、有効求人倍率の上昇など、回復基調にある雇用情勢を踏まえて特例の縮小を判断した。

特例縮小の背景には財源の枯渇もある。雇調金は通常、事業主が負担する保険料で賄われ、支給に使われなかった余剰分は積立金にしている。コロナ禍で積立金を雇調金の特例措置に使ってきたが、支給額の急増で積立金が払底した。

そのため失業手当などの積立金から借り入れているほか、一般会計からも繰り入れている。財源の逼迫を受けて22年4月以降は順次、企業や労働者が支払う雇用保険料を引き上げたが、返済は今後の課題だ。

政府は雇調金を活用した一律の雇用維持策から転換を図り、産業別の支援や成長分野への労働移動の促進などに重点を移す。勤務先と雇用関係を維持したまま別の企業などに出向する「在籍型出向」の支援策を拡充したり、雇用は維持したまま別のスキルを磨く仕組みの利用を促したりする。