家賃、首都圏圧倒 ニューヨークの二の舞いも 都道府県ランキング・物価編 住居費

全国平均を3割上回る高水準でほかを圧倒し、2番手の神奈川県との差は新型コロナウイルス感染拡大前より開いた。

インフレ退治をめざして海外で相次ぐ利上げにつられ、国内でも住宅ローンの固定金利が上昇し始めており、持ち家志向が徐々に後退して賃貸住宅へのシフトが最大市場の東京都で先行しているためだ。家賃が急騰する米国ニューヨーク市の二の舞いになりかねない。

東京都は全国平均を100とした住居の指数で131.9だった。2位の神奈川県が116.1で、続いて千葉県(112.5)、埼玉県(106.9)と首都圏が上位を占めた。全国平均を上回ったのはほかに京都府(101.7)だけだった。一方、最も指数が低いのは香川県の81.4で、東京との差は50ポイント以上に及ぶ。地域差は10大費目で最も大きい。コロナ禍が収束して都心に住む需要が再び高まれば、差はさらに広がる可能性がある。

日常的な購買価格を追う消費者物価では住宅や土地の購入は対象外になり、住居の指数は主に家賃で構成されている。家賃相場は地価と連動するほか、賃貸住宅シフトが進む地域ほど高い傾向にある。総務省が5年に1度公表する住宅・土地統計調査で直近18年の結果をみると、指数最高の東京都は貸家となっている住宅の割合が49.1%なのに対し、指数最低の香川県は29.0%だった。

世界的なインフレのさなかで東京都を中心に家賃が高騰する懸念がある。住宅ローンの固定金利が上昇すると、家計調査で家賃・地代を支払う世帯の割合が高まる傾向にある。22年に入って住宅ローンの固定金利は上昇ペースを速めており、賃貸住宅シフトが家賃相場をさらに押し上げかねない。

ライフルホームズ総研の中山登志朗チーフアナリストは「確かに現象としてニューヨークの状況と似ている」としつつ「住宅ローンの固定金利はやや上昇しているとはいえ、依然として低水準。賃料が急上昇する可能性はニューヨークに比べると相対的に低い」と指摘する。「少なくともタイムラグはあるはずだ」と説明している。