富裕層の入国が相次ぎ、高級不動産の需要が急増しているためだ。
国や関連不動産会社は、世界金融危機のさなかに債務問題の影響で頓挫したプロジェクトの再開を模索している。建設が中止されている人工島「パーム・ジェベル・アリ」や、別の人工島「パーム・ジュメイラ」の入り口で開発が遅れている超高層タワー「ドバイ・パール」が含まれる。
これらは長い間、過去の行き過ぎを思い出させてきた。だが、アジアの資産家や暗号資産の投資家、ウクライナ侵攻後に科された制裁から逃れようとするロシア人富裕層など新規参入者が相次ぎ、現在は復活しつつある。
ドバイの住宅市場での取引件数は、2022年6月に前年同月比で3分の1増加した。不動産サービスCBREによると、6月までの1年間の総取引件数は09年のピーク以降で最高を記録した。パーム・ジュメイラの別荘は、平均販売価格が国内最高を記録した。
その開発をした政府系不動産開発大手ナキールは、09年の信用不安「ドバイ・ショック」の中心にあった企業で、当時はデフォルト(債務不履行)寸前まで追い込まれた。海辺の物件に対する需要でナキールは息を吹き返している。かつて政府系持ち株会社ドバイワールドの子会社だった同社は現在、政府系ファンド(SWF)ドバイ投資公社の傘下にある。
パーム・ジェベル・アリは、09年の危機のあおりで開発が棚上げされていた。ナキールの新経営陣は、政府の承認が下りれば、同島の開発に着手する見通しだ。関係者3人が明らかにした。
一方、関係者6人によると、ナキールはここ数カ月、プロジェクトの既存投資家に区画や物件の契約を買い戻す提案をしているという。同社はコメントを控えた。投資家は金銭的な補償や、ナキールの他の不動産の債権を提示されていると、一部の関係者が明かした。
復活したパーム・ジェベル・アリに再投資する機会も得られる見通しだ。その場合、同島の価格は20年前の立ち上げ当初をはるかに上回ると予想され、ナキールが一部を補償するとみられる。
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