· 

クラウドファンディングに投資 利息は年450万円 スゴ腕が披露 夢の配当生活(3)

夢の配当生活実践者の3人目は、そのクラウドファンディングで年間約450万円の利息を受け取る専業投資家のSALLOWさん(ハンドルネーム)だ。投資の仕組みや商品選びのポイントを聞いた。

クラウドファンディングとはインターネットを通じて募った資金を運営会社を通じて特定の事業や企業に投じ、リターンを得る仕組みをいう。SALLOWさんはクラウドファンディングに約1億円投資して、年間で約450万円の利息を受け取っている。

もともと日本株、米国株、投資信託、FXなどのリスク商品を幅広く手掛けてきたSALLOWさん。13年に、日銀の「黒田バズーカ」と呼ばれる金融緩和で資産が一気に2倍超の5000万円余りまで膨らんだ。この経験から、投資商品の値動きで一喜一憂せず、インカムゲイン(配当収入)狙いの投資に切り替えたいと考え始めるようになった。

SALLOWさんは「資産の雪だるまを大きくしていく資産形成の前半段階においては、キャピタルゲイン(値上がり益)が見込める投資を選んだ方が優位」とする。一方、クラウドファンディングは「日々の値動きがなく、買い時や売り時が存在しないため、軟調な相場ほど光る投資」という。株式投資の成功経験を持つSALLOWさんは、「資産形成は後半段階に差し掛かった」と考え、キャピタルゲインよりも、月々の安定収入の確保を重視する。インカム狙いの投資家と相性が良い投資法だ。

分散投資を徹底

初めは、SBIホールディングスの子会社のSBIソーシャルレンディング(現在はバンカーズ=東京・千代田=が事業を承継)を通じて運用をスタート。現在は43の運営会社に口座を保有する。各運営会社への投資額は運用資産の10%までと決め、分散投資を図っている。7月中旬時点の含み益は約1500万円以上だ。

クラウドファンディングは集めた資金を何に投資するかによって数種類に大別される。SALLOWさんは約半分を「融資型」で運用し、「不動産投資型」などにも資金を振り向けている。不動産投資型は、従来は機関投資家や一部の富裕層しか投資できなかった不動産ファンドに、個人が少額から投資できるというもの。REIT(不動産投資信託)と異なり、日々の価格変動はない。

直近では、不動産投資型クラウドファンディングの「COZUCHI(コヅチ)」を通じて投資していた東京・銀座の「中銀カプセルタワービル」の案件で、配当額が当初予定を上回る「アップサイド」が成立。年利が10%から11.5%に上方修正された。

クラウドファンディング運用で「年4~5%の配当金を受け取りたい」とするSALLOWさん。同じ運営会社でも扱うファンドによってリスク・リターンは大きく異なるものの、利回りを重視する場合、運営会社はバンカーズやクラウドバンク(東京・港)を使うとよいという。「前者は利回り3~5%の案件が多く、後者は太陽光発電などの再生可能エネルギー関連や米国不動産など、扱う案件の幅が広い」と話す。少額から投資できる点も特徴だ。

SALLOWさんが高配当案件を期待しやすいと考えている運営会社の一例

インフレ対策にも最適

足元でインフレに歯止めがかからない中、「クラウドファンディングはその影響を受けにくい」と語るSALLOWさん。例えば、電気料金の内訳の一つである「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」。電気利用者から集めた賦課金は最終的に、再エネの発電企業に納付されている。電気料金の引き上げが進む中、太陽光発電など再エネ関連のクラウドファンディングに投資することで、「賦課金を払う側から、賦課金による利益を得る側に移ることができ、インフレ対策になる」とみている。

また、「毎月一定程度、安定した入金が期待できるため、インフレの抑制を目的とした利上げ加速への警戒感から株価が下落した場合も、評価額が目減りすることがない」(SALLOWさん)。さらにクラウドファンディングの利率は「政策金利を基準とする各案件のリスクプレミアム(リスクに応じて投資家が追加的に求める収益率)で決まる側面がある」として、利上げが実施された場合は、利率が上昇する傾向にあると指摘。インフレ対策という切り口でも、「クラウドファンディングは魅力的な投資先だ」と話す。

特典付きなどオモシロ案件も

クラウドファンディングの中には、株主優待のような特典付きの案件も存在する。SALLOWさんはこれまで、JCBなどのギフト券や食品、アフタヌーンティーのチケットなどを受け取った。

また最近では、日本初の船舶投資型のクラウドファンディングサービス「マリタイムバンク」の冷蔵船のファンドの募集が満額で成立するなど、これまでプロの大口投資家しか運用ができなかった専門性の高い案件も出てきている。

流動性の低さや元本割れリスクなど、クラウドファンディング特有のリスクに注意しながら、SALLOWさんは「今後も高配当を狙いたい」と意気込んでいる。

(井沢ひとみ)